なぜネコは1日じゅう寝ているのでしょうか?
──ネコがよく眠るのはなぜだろう。家畜化によってネコの行動や生活様式の一部は変化したが、睡眠覚醒周期はほとんど変わっていない......
ネコがよく眠るのはなぜだろう。これにはいくつかの理由がある。 ネコは、ジャガーやヒョウなどの他のネコ科の動物と同様、主に明け方と夕方に採食や生殖などの活動を行う「薄明薄暮性」だ。ネズミなどの獲物も同じく薄明薄暮性であるため、ネコは夕方から明け方まで起きていて、狩りをしなければならなかった。狩りには多くのエネルギーを要する。ネコは広範囲にわたって狩りをするため、次の狩りに備えて昼間にたくさん眠る習性が身についたようだ。 動画:夢見るネコたち ■ 子猫や高齢猫ではより長く20時間程度眠るものもいる 家畜化によってネコの行動や生活様式の一部は変化したが、睡眠覚醒周期はほとんど変わっていない。一般的なネコの睡眠時間はおよそ15時間だが、子猫や高齢猫ではより長く20時間程度眠るものもいる一方、12時間しか眠らない行動的なネコもいる。 ネコには12~14時間の睡眠は必要で、レム睡眠と浅い眠りの両方が重要だ。良質な睡眠は、エネルギーの貯蔵や筋肉の修復、免疫力の改善など、ネコの健康に寄与する。また、ネコの食事の多くは肉、魚などのタンパク質だ。摂取したタンパク質を完全に消化するためにも適度な睡眠が必要となる。 しかしながら、長時間の睡眠が必ずしもよいとは限らない。1日15~16時間以上眠る成猫は肉体的な痛みや甲状腺機能亢進症、うつなどの可能性がある。 睡眠のタイミングは一定ではない。摂食パターンに合わせて睡眠時間を定められるほか、飼い主の行動に合わせて睡眠のタイミングを調整するネコもいる。 ネコが深い眠りに入るのは睡眠時間のうちわずか25%程度だ。レム睡眠に入って夢をみることもある。四肢をぴくぴくさせたり、ひげがわずかに規則的に動いているとき、ネコはおそらく夢をみている。 ■ 雨の日や寒い日には、より長く眠る 天候や気温はネコの行動や睡眠パターンに影響をもたらす。恒温動物であるネコは、雨の日や寒い日には、体温のバランスを保つため、より多くのエネルギーを必要とし、より長く眠る。一般に、ネコは晴天を好む一方、雨季を好まない。温かく過ごしづらいうえ、雨音も嫌うからだ。また、雨に濡れると、皮膚や毛に水分が残り、風邪をひきやすくなってしまう。 ネコも私たち人間と同じく、睡眠パターンから健康状態に関するヒントが得られる。私たちの体が正常に機能するためには夜の睡眠が欠かせないのと同様に、ネコの健康には昼間の睡眠が必要なのだ。