ついムダ遣いしてしまう原因となる深層心理とは?誘惑への対処法教えます
アンカリングが起こる理由
著者によると「アンカリング」(最初に行なった意思決定がそのあとの行動をずっと左右し続けること)は、無関係な情報によって決断に影響が及び、その無関係なきっかけを「それ以降に決断する際の根拠」にしてしまうことで起きるのだそうです。 たとえば、あなたは自動車の価格査定についてまったく知識がないとしましょう。 ところが、メーカー希望小売価格を目にしたとたん、その価格を基準にするようになります。その数字が「実際の」価値に見合っているかどうかなど関係ないのです。 アンカリングが起きるのは、私たちが自分自身を信頼していることが1つの理由です。 商品の価値に関する自らの判断力を過信しすぎているのです。お金に関して現在あるいは将来的に下す決断は、過去に下した決断がベースになっています。 「特定の価値決断をこれまで何度も下してきたと信じ込んでおり、それが良い決断だったと決めてかかっているのです」と著者は本書で述べています。 カフェラテに4ドル、車のオイル交換に50ドルを払ってしまうと、今後も同じようにする可能性が高くなります。 同じような決断を前にも下しており、それをまだ記憶していて、自分が下した決断を正しいと考える傾向があるからです。たとえ必要以上に支払わなくてはならなくても、あるいは、オイル交換をしている間に無料でコーヒーを飲める場所があってもです。 ファイナンス・ライフに影響を及ぼすアンカリングの例をもう1つ挙げましょう。 それは給与交渉です。 交渉の席では、最初に提示された数字がとても大きな意味を持ちます。自分を安売りしかねないので、数字を先に提示すべきではないとアドバイスする記事が多数あります(特に女性の場合)。 あるいは、主導権を握ろうとするあまり、自分の上司になるかもしれない人よりも先に、とんでもない金額を意図的に吹っかけてはいけない、と説く記事も多く見かけます。 アンカリングがさほど著しい影響を及ぼさない場合もありますが、それは自分が買おうとしているものに関して多少の知識があるときです。 たとえば、不動産に関する専門知識を持っている人は、そうでない人よりも、住宅の市場価格を聞いて考えが揺らぐ可能性は低くなります。 いずれにせよ、アンカリングの影響を抑えるには、自分自身を過信しないようにしましょう。