ついムダ遣いしてしまう原因となる深層心理とは?誘惑への対処法教えます
お金の価値は「心の家計簿」で変わる
「メンタル・アカウンティング(心の家計簿)」とは、支出をどう仕分けるかに関する心理的傾向です。 客観的に言えば、1ドルはすべての1ドルと同等の価値を持ちます。ところが私たちはそのようにはとらえません。 1ドルを心のなかでどう仕分けるのか、あるいはその金額についてどう感じるのかによって、とらえ方が変わってきます。 仮にあなたがローンの返済に250ドル、食費に200ドル、旅行積立に100ドル、娯楽費に100ドル、光熱費に50ドルのように、支出項目ごとに1カ月の予算額を厳密に決めているとしましょう。 なんなら封筒式予算管理法を取り入れている人もいると思います。 ある支出項目の予算が底を突いたら、もうそれ以上は使わないようにするのです。 とはいえ、お金をほかの項目から「移動」させるのは簡単です。どっちみち、すべてあなたのお金なのですから。 この手法が問題というわけではありません。それどころか、実用的で手っ取り早い解決策だと言えるでしょう。 というのも、著者たちが言うように何かを購入するたびに、ありとあらゆる機会費用を検討せずに済むからです。 「アボカド・トーストを買った分の金額は、この先の住宅ローン支払いに充てられない」と考える代わりに「アボカド・トーストを買った分、その週はほかの食料品を買うことができない」と考えることができます。 合理的ではありませんが、浪費は防げるでしょう。 けれども、もちろん話はここで終わりません。 私たちは自分で項目を決めていながら、お金を使うときに「柔軟に対処できる心の家計簿」を使って自分をだますことが往々にしてあります。 そうすれば罪の意識を感じないからです。 自分で決めたルールをねじ曲げて、疑わしきを正当化します。 たとえば、外食すべきではないとわかっていても「1回くらいなら良いだろう」と考えてしまうのです。 今週は仕事が忙しかったら自分へのご褒美だと自らに言い聞かせ、ディナー代金の60ドルは「食費」からではなく「娯楽費」から出そうと考えるわけです。 それに、お金の出所によって感じ方が変わる、いわゆる「emotional accounting(感情の家計簿)」があります。 家賃や食費など「払うべき」事柄には給料を充てる一方で、新しいテレビなどの「お楽しみ」のためにはクリスマスに母親からもらったお小遣いを使います。 ボーナスや税還付金もそうなのですが、そうしたお金はすべて「特別」なものであり、かならずしも責任を果たすために使わなくてもいいように思えるのです。 客観的に見れば同じ価値を持ったお金なのですが、心理的要素がそうさせてくれないようですね。