ついムダ遣いしてしまう原因となる深層心理とは?誘惑への対処法教えます
お金は抽象的で複雑な問題です。 金融商品はあとを絶たず、住宅ローンにクレジットカード、学生ローンなど、次から次へと登場するのですからなおさらです。 では、自分のお金を有効活用するにはどうすればいいのでしょうか。 それに対する答えはたぶん「無理」となります。 「少なくとも一貫してそうするのは難しい」と話すのは『Dollars and Sense: How We Misthink Money and How to Spend Smarter(意訳:お金と良識:お金に関する誤解と、スマートな金銭術)』を2017年に出版した行動経済学専門家のDan Ariely氏とJeff Kreisler氏です。 本書では「お金についてたくさん考えるのは、そうすることがよりいい決断につながるのであればかまいません。ところが、なかなかそういうわけにはいかないのです」と述べられています。 実を言うと、お金に関してまずい決断を下すのは人間の証なのです。人間はお金の管理が大変下手です。 では、金銭管理がほんの少しでも上手になるには、どうすればいいのでしょうか? それには自分には欠点があることを認め、自らの不合理な行動を認識することが1つの方法なんです。
無駄遣いしてしまう原因は「相対性」
Ariely氏とKreisler氏によれば、お金についてまずい決断を下してしまうもっとも大きな要因のひとつは「相対性」だと言います。 そのせいで「実際の価値とほとんど関係のない方法で価値評価を下してしまう」のだそうです。 たとえばあなたは、通常価格の40ドルで売られているシャツよりも、通常価格60ドルから40ドルに値下げされたタグが付いているシャツのほうを買いたいと思うかもしれません。 40ドルに値下げされたシャツは、もともとが40ドルのシャツと比べて、価値が高くてお得に思えるのです。 しかし、もちろんそれは真実ではありません。セール前の「通常」価格はもはや実際の価格ではないのですから。 ならば、60ドルという価格を考慮する必要はあるのでしょうか。 同書によれば、40ドルに値下げされたシャツのような「お買い得商品」を買うと、自分が賢くなったような気がして、決断が容易になります。 けれども、出さずに済んだと思っている金額(ここではシャツ代金の60ドル)を評価するよりも、最終的に自分が出したお金の絶対値を考慮すべきです。 別の典型的な例として、自動車販売店で車をアップグレードする場面を挙げてみましょう。 新車に何万ドルもお金を出す場面では、シートを革製にアップグレードするために2000ドルを余分に払っても気にならないかもしれません。 自動車の価格と比べれば、その程度の金額は「大したことない」と思えます。 なぜなら、私たちは実際の金額ではなく、支払額における割合で考えることが多いからです。 だからこそ、レザーシートに替える2000ドルを上乗せしてしまうのでしょう。 でも、出勤する途中でコーヒー代4ドルは出そうとしません。4ドルは0ドルと比較すると大金だからです。