トヨタ ライズ&ダイハツ ロッキーの新エンジンを乗り比べ。人気コンパクトSUVがさらにグレードアップ
同じエンジンを中核にしながらも、それぞれ使い方に合わせて最適チューン
トヨタ&ダイハツの人気コンパクトSUVライズ&ロッキーに、新開発の1.2L直3 自然吸気ユニットを採用した2種類の新たなパワートレーンが搭載された。 【写真はこちら】新エンジンはどちらも魅力的。気合の入ったバージョンアップぶりだ(全19枚) 優れた効率とコストパフォーマンスの高さが自慢の純ガソリンエンジン車と、エンジンで発電しながら電気モーターで走る低燃費志向のハイブリッド車が加わって、選択肢が一気に増えている。 それは果たして「一粒で二度おいしい」バリエーション拡大と言えるのか。乗り比べることでそれぞれの魅力が伝わってきた。 今回の改良でライズ&ロッキーに新たに設定された2タイプのパワートレーンは、どちらも1.2L 直列3気筒エンジンがそのコアとなっている。排気量、ボア×ストローク、圧縮比まで同じ。だが細かく見れば、吸排気系の取り回しや燃料噴射システムなど細部が異なり、パワー/トルクの性能値に共通項はない。 そうした差別化のポイントは、「使い方」の違いに他ならない。駆動は電気モーターが担いエンジンは発電効率が重視されるシリーズハイブリッド向けに設えるか、ダイレクトに駆動力を発生させる純ガソリンエンジンとして使うか、で制御が変えられている。 試乗したのはロッキーがハイブリッドのWA-VEX型を搭載する「プレミアム G HEV」、ライズが自然吸気のWA-VE型搭載の「Z」。どちらも装備が充実した上級グレードだが、それぞれに「狙ったツボ」に見事にハマっていた。
ロッキー プレミアム G HEV 試乗その1───コンパクトな駆動ユニットからゆとりのパワートルクを発生
まずは、ロッキー HEVからチェックしてみよう。 駆動・発電用のモータージェネレーターと減速機構、ディファレンシャルを一体化したe-アクセルタイプの駆動ユニットは、非常にコンパクトかつ軽量にまとめられている。最高出力は106ps、最大トルクは170Nmで、従来型の1Lターボ(今回の改良で4WDにだけ搭載)よりも出力で8ps、トルクで30Nmものアドバンテージがある。 搭載されるWA-VEX型ガソリンエンジンは、最高出力82ps、最大トルク105Nmを発生するが、こちらはあくまで発電用。そこで作られた電気がモーターを動かし、駆動力へと変える。 なるほど確かに、発進時の力強さはコンパクトカーのイメージを覆すものがある。静粛性が自慢の電気モーターらしく、どこからともなく「シュン!」という効果音が聴こえてきそうなシャープな立ち上がりに、思わずにんまりしてしまった。 だが、その笑みはすぐに?マークに変わった。ほんの十数メートルも進まないうちに、いきなりエンジンが始動したのだ。静かだった車内に、ちょっとびっくりするくらい大きな音が響き渡る。