シリーズ『ストーリーズ』「入院できる病院を守る」震災後の富来病院に赴任した新院長 地域医療の担い手が抱える思い
頼ることができる「地域の病院」であり続けること
精密検査が必要と言われていた古坂さんが、入院するために富来病院にやって来た。この日は妻だけでなく、金沢から来た娘も付き添っている。以前外来で竹村さんの診察を受けた際、かたくなに入院を拒んでいた古坂さんが入院を了承した決め手は、娘の説得だったという。 古坂さんの妻が心配そうに、身の回りの物を入れたカバンを看護師に預ける。 「しょっちゅう水飲むひとやから、ここに全部コップやらはいっとるさけ…」 娘がその様子を見て「看護師さん全部見てくれるから」と、母の心配を和らげるように声をかけた。 娘さんにインタビューをすると、入院を決めるまでの一部始終を話してくれた。 「今朝まで説得して、一応すぐ帰れるから。2~3日って言って入れた。途中で怒るかも。入院も嫌やっていうけど、母親の方も都合悪くなるので」 その言葉に、古坂さんの妻も「入院出来て安心した」と語った。 離れて暮らす娘だからこそ、高齢で自分も体調がすぐれないからこそ。大切な家族の体調が悪いとき、地域の医療機関に頼りたい。 当たり前だったことが、当たり前ではなくなってしまった震災後だからこそ、強くそう感じた。 精密検査の結果、古坂さんは肝硬変と診断され治療を続けている。 竹村院長: 地元に暮らす方にとって、入院できる病院があるかどうか、暮らしにとっては安心感が違うと思う。地域の病院が提供するのはそういうところが大事。 地域の人が困ったときに頼ることができる場所であること。 それが富来病院の役割だ。 (石川テレビ)
石川テレビ