「あずきバー」が全米に…何が違う?50年目のリニューアルとは?
今回のテーマは、「円安サバイバル~今こそ世界に打って出る!~」。 円安や原材料価格の高騰で苦境に立たされる企業が増える中、円安を逆手に取り、今こそ世界に打って出ようとする企業の取り組みに密着する。 【動画】「井村屋グループ」巨大市場・アメリカ、開拓の秘策
看板商品「あずきバー」50年目のリニューアル
創業1896年の「井村屋」(三重・津市)は、円安の中、シリーズ累計販売、年間3億本(2021年度)という国民的アイス「あずきバー」を全米に広げたいと考えていた。 中心となるのは、「井村屋グループ」井村慎 海外貿易室長(48)で、向かった先は、アメリカ・カリフォルニア州 アーバインにある「井村屋USA」。「井村屋USA」は「井村屋」の商品を日本から輸入販売する拠点で、冷凍庫には、出荷を待つ「あずきバー」が大量に準備されていた。 アメリカでは、「あずきバー」の販路は少しずつ拡大していたが、いまだ日系のスーパーが中心。「50周年なので、これを弾みにいろいろ施策をとって売りたい」。井村さんはアメリカに飛び、リサーチを開始する。
ロサンゼルス近郊にチェーン展開する「スーパーAフーズ」では、まだ「あずきバー」を扱っていない。アメリカ人一人が食べるアイスクリームの量は日本人の約2倍で、アメリカ市場は大きな魅力。井村さんは、店長に「あずきバー」を売り込むが、反応は鈍い。 街行く人に試食してもらうも「第一印象がダメよ。だって豆が入っているんだもの」「変わってるわ。豆が入ってなかったら食べたいけど」とのこと。アメリカでは、豆は塩やスパイスを入れて煮るおかず。甘い豆のデザートが理解されにくいのだ。
次に井村さんが向かったのは、アジア系が中心で、アメリカ全土に78店舗を展開する「Hマート」。デザートのコーナーを調べてみると、台湾や韓国のメーカーの、あずきを使った商品を数多く取りそろえていた。 売り場の商品担当者に試食してもらうと、「他の小豆の商品と比べても、良い感じだと思う。甘すぎないのが良い」「今、多くのお客さんは品質にこだわる。最近は特に体に良いものを選ぶ傾向にあると思う。ナチュラルなものをより好む」と、参考になる意見を聞くことができた。 顧客サービス担当者も、「お客さんに『井村屋』の商品を勧められるポイントは、原材料がシンプルということ」と話す。井村さん、販売拡大の突破口になるヒントを得たようだ。