超高回転の咆哮こそホンダエンジンの真骨頂! VTECを搭載したスポーツモデル5選
かつてホンダ車の真骨頂だった高回転エンジンの咆哮
国産車の性能向上は1980年代に一気に進みましたが、その立役者になったのがターボとDOHCエンジンの普及です。どちらも決して新しい技術ではありませんが、市販エンジンに普及したのがちょうど1980年代で、メーカー間の馬力競争が勃発したことで次々と高性能車が登場しました。 【画像】VTECエンジン搭載の名車をささっと見る!(30枚)
現在、高性能車ではターボエンジンが主流ですが、かつては高回転・高出力を目指した自然吸気エンジンも数多く存在し、各メーカーがこぞって開発をおこなっていました。 この高回転・高出力な自然吸気エンジンの頂点に立っていたのが、ホンダのVTECエンジンです。 VTECとは「Variable valve Timing and lift Electronic Control system」の略で、「電子制御式可変バルブタイミング・リフト」と訳され、エンジン性能を司るバルブ開閉機構を可変制御するというものです。 そもそも高回転型の自然吸気エンジンは、高回転域のトルクを稼ぐために低回転域のトルクが犠牲にならざるを得ないというのが、エンジン開発のジレンマでした。 レーシングカーのように常に高回転域を維持できれば、低回転域のトルクが犠牲なっても構いませんが、発進停止を繰り返す市販車ではドライバビリティが悪化してしまいます。 そんな相反する性能を両立したのがVTECで、可変バブル機構によって低回転域のトルクを犠牲にすることなく、高回転域のトルクを確保するというものでした。 ホンダのVTECエンジンは自然吸気エンジンの頂点に君臨し、いまでは伝説的となった高性能モデルに搭載されてきました。 そこで、VTECエンジンを搭載したホンダ車のなかでも、とくに印象に残るモデル5車種をピックアップして紹介します。
●ホンダ「インテグラ タイプR」
ホンダ「インテグラ」は、1985年から2007年まで4代にわたって発売されたホンダのスポーティモデルです。そして1989年にVTECエンジンを初めて搭載したのもインテグラでした。 今回取り上げる1993年に登場した3代目モデルでは、ハッチバックタイプのクーペとセダンの2タイプが存在し、発売当初は丸目4灯式のフロントデザインが個性的すぎたためか、販売は好調とはいえませんでした。 そこで、1995年のマイナーチェンジでヘッドライトをオーソドックスな横長形状に変更。同じタイミングでインテグラでは初となる高性能モデルの「タイプR」グレードを、クーペとセダン両方に設定したところ、これがカンフル剤となって一躍人気車種となりました。 タイプRは1992年にスーパースポーツカーの「NSX」に設定され、標準状態でメーカーがチューニング済みというスポーツ性能を大幅に高めたグレードで、そのままサーキットに持ち込んでの走行が可能という触れ込みが話題でした。 インテグラ タイプRではピストンやシャフト、吸排気系までエンジン内部の多岐にわたって手が加えられており、1.8リッターでありながら驚異的な200馬力という高出力を達成しています。 またエンジンのみならず車体にも徹底的にチューニングと軽量化が施され、さらにレカロ社製のバケットシートや迫力のある大型リアスポイラーなども装備し、内外装もエンジン性能にふさわしいモデファイがおこなわれました。 こうしてインテグラ タイプRは一躍FFスポーツカーの頂点に登りつめ、ここからタイプRシリーズが普及する流れを作りました。