航行船舶からドローン発着、日本鯨類研究所が全自動技術
日本鯨類研究所(東京都中央区、藤瀬良弘理事長)は、独自開発の垂直離着陸機(VTOL)を航行中の船舶からでも全自動で発着させる技術を2024年度中をめどに開発する。離発着の自動化により、高度な訓練を受けたパイロットがいなくても航行中の船舶で運用できるようになる。鯨類調査の大幅な省力化につなげられるほか、同VTOLのほかの用途での活用も見込める。 自動発着技術は、長距離自律飛行が可能なVTOL「飛鳥」向けに開発する。同VTOLは鯨類の生息密度調査のために、日本鯨類研究所が独自開発した。捕鯨母船から離陸して自動飛行で洋上を調査し、帰還時はパイロットが手動操縦で着陸させている。 陸上運用の飛行ロボット(ドローン)は離陸から着陸まで全自動で行える。一方、航行中の船舶では飛行中に船が動いていたり、全地球測位システム(GPS)の測位精度が陸上よりも下がったりするため、全自動化が難しい。 同研究所はGPSの測位精度低下を補うために、高精度測位のリアルタイムキネマティック(RTK)による相対測位や準天頂衛星システム「みちびき」の利用を想定。さらに全球測位衛星システム(GNSS)の併用も計画するなど、複数手段を駆使して全自動技術の開発を目指す。 機体が航行中の船舶に着艦する場合、まずは船舶を追尾しながら接近して飛行甲板への進入ルートを判断。飛行甲板上空に到達後は、ホバリング機動に自動で切り替えて降下を開始し、高度を各種センサーで把握・補正しながら着艦する。 航行中の船舶からの完全に安定した全自動離発着技術は「完成すれば世界初ではないか」(同研究所)としている。