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宇宙人はいるのか? 火星で見つかった怪現象

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ナショナル ジオグラフィック日本版

 自然の造形など、ランダムに出来たものが何か特別なものに見えることを心理学では「パレイドリア」という。例えば、トーストの焦げ目に聖人像を見たり、雲が顔に見えたりする場合がそうだ。 火星からの画像に謎の光が…?!  1976年、NASAの火星探査機バイキング1号が地球に送り大騒動を巻き起こした画像は今も記憶に新しい。シドニアと呼ばれる地域に、空を見つめる「スフィンクス」があるというのだ。この後、火星の生命体についての熱い議論は25年にわたって続いた。  2001年になって、無人の火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが鮮明な画像を撮影し、この議論に決着をつけた。スフィンクスに見えたものは、火星の平原にある丘にすぎなかったのだ。  こうした好奇心に胸を躍らせるような話は、探査車の技術が進み、火星の姿を鮮明な画像で眺められるようになると激減した。そんななか、2012年に火星探査車キュリオシティから心ときめく映像が届いた。ロックネストと呼ばれる地域で、火星の「ネズミ」を撮影したというのだ。 「UFOサイティング・デイリー」というウェブサイトは、勇んでこの謎のネズミの話を掲載した。ところが、案の定、このネズミも岩だということが判明した。  火星の広々とした何もない空間は、パレイドリアを引き起こしやすい風景といえる。火星のスフィンクスやネズミは、その一例にすぎない。

「たき火」のような謎の光

 それでもインターネット上には、火星に生命がいると信じて疑わない人たちがいる。2014年には、探査車キュリオシティの右側に載せたカメラが撮影した2枚の写真が熱い議論を巻き起こした。1枚は4月2日、もう1枚はその翌日に撮られたもので、そこには火星の地平から、にじむように光が立ち上っている。不思議なことに、左側のカメラで同じ場所を撮った写真にその光はなかった。これを一部の人は、火星人が火を焚く様子が写っていると信じたのだ。  キュリオシティ・チームで画像技術を担う科学者ジャスティン・マキは、この騒ぎの火消しに追われることになった。マキは、火星で火が焚かれたのではなく、車載カメラに宇宙線が当たったか、太陽光が岩石で反射したものが写ったのだろうと説明している。  宇宙線は宇宙の中では当たり前にある存在で、あらゆる方向に飛んでいる荷電粒子だ。たまたまカメラに衝突すれば発光することもある。謎の光が右のカメラだけに写って、左には写らなかった理由はこれだとマキは言う。宇宙線は右のカメラだけに衝突したという理屈だ。  一方で、岩石が犯人だという考え方も無視できない。火星では太陽光を反射する岩石は、宇宙線と同様ごくありふれたものだ。NASAの探査車もそんな岩石をいくつも見つけているし、探査車から毎週のように届く画像にも写っている。しかし、この現象をとらえたのが右の車載カメラだけというのはやはり妙だ。  謎の光が2日連続で写ったという事実はどうだろうか。これも不思議と言えば不思議だが、マキによれば、毎週送られてくる何百枚もの写真の中で1パーセントくらいは宇宙線で光るものがある。 「それほど多いのは火星の大気が地球より薄いからだ。火星の大気はあまり宇宙線を遮断しない」とマキは説明する。2日連続で光ってもおかしくないというのだ。  もちろん、マキの説明で誰もが納得したわけではない。もし、火星人が火を焚いているところが発見されるなら、こんなにも胸がときめくことはないだろう。明らかに誰かの手による巨大な顔が彫られているとか、エイリアンの化石が発見されたとかでもいい。しかし、これまでのところ、そのような展開にはまだなりそうにない。

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