ダルビッシュの手術で経済損失はいくら?
その額だけを切り取ればたいした損失には見えないものの、問題はダルビッシュの離脱で、チーム力がどれだけ低下し、伴ってどの程度の集客の低下を招くか、である。 ダルビッシュが故障する前の勝敗予想を調べてみた。 ESPN 72勝90敗 FANGRAPHS 73勝89敗 ブリーチャーリポート 79勝83敗 ベースボール・プロスペクタス 79勝83敗 勝率5割を予想するところは一つもないが、ダルビッシュ不在により、どれだけ勝ち星が下がるのか。その目安となるWAR(代わりの選手に比べて、どれだけ勝利数を上積みできるか)は、FANGRAPHSが4.6と予想しており、5勝程度はマイナスになると見込まれる。 となると今季の勝ち星は、良くても70勝前半。悪ければ、昨年の67勝と同程度。これが、全体の集客にどれほど影響するかだが、1試合の平均観客数がもう、3万人を割り込んでも不思議ではない。そしてそのマイナス分は、例えば1試合平均で4,000人少なくなった場合、年間1620万ドル(約19億円)の損失である。 チームがプレイオフを争う展開になれば、観客数は再び年間300万人を超えるかもしれないが、逆に早い段階で脱落すれば、250万程度が精一杯か。あくまでも予想に過ぎないが、レンジャーズのチケット販売部門は確実にチームの低迷による観客減を恐れているはず。昨年だけでも1試合平均5,000人以上も失っているのだ。 また、今回、換算はできなかったが、同時にダルビッシュ関連グッズの売り上げやチームに入るダルビッシュ関連のスポンサーフィーの損失も相当なものだろう。 観客減の傾向を止められるか。過去3年を考えればダルビッシュはその切り札になり得たが、レンジャーズは今回、その原動力を失った。 キャンプ開始の時点で今季の不利が予想されたが、ダルビッシュの故障は、そこに追い討ちをかけた。 1年の不在ーー。 ジェフ・バニスター監督は、「ダルビッシュの穴は、全員がステップアップして埋めていく」と話したが、その程度でカバーできる損失ではとてもなさそうだ。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)