ダルビッシュの手術で経済損失はいくら?
ということは、フリーエジェントになれば、オフにマックス・シャーザー(ナショナルズ)が交わした、7年総額2億1000万ドル(約249億円)程度の契約を得て、ダルビッシュの2017年の年俸は約3000万ドル(約35億7000万円)に跳ね上がったはずだが、2017年の年俸は、レンジャーズが再契約しない限り1100万ドル(約13億円)なので、1900万ドル(約22億円)の差が生じることとなる。 その点に関して、レンジャーズにとっては格安でダルビッシュを保有できるメリットがあるものの、彼らにとってもやはりマイナスの方が大きいのではないか。契約の保険により、ダルビッシュの今季の年俸の50~75%をカバーできることにはすでに触れたが、まず、ダルビッシュ目当ての集客を失うかもしれない。 以下、ダルビッシュ入団以来の平均観客数と、ダルビッシュが本拠地で登板した場合の平均観客数を調べてみた。(チーム平均観客数/ダルビッシュ登板日平均観客数) 2012年 42,719人/44,410人 (+1,691人) 2013年 38,759人/39,952人 (+1,193人) 2014年 33,564人/35,276人 (+1,712人) 結果はと言えば、やはりダルビッシュの登板日の平均観客数の方が多かった。様々な要素があるとは思う。ヤンキース戦やレッドソックス戦に登板すれば、必然、観客数は増える。ただ、それだけではないだろう。日本人観光客を含め、ダルビッシュ目当てのファンは、決して少なくないはずだ。 改めて数字を見ると、去年はけが人が続出し、地区最下位に終わったものの平均観客数が33,000人を超えていたのは驚き。マリナーズなど、プレイオフにあと一歩と迫ったのに、昨年の平均観客数はわずかに25,485人。ワールドシリーズに進出したロイヤルズの平均観客数はさらに低く24,154人だった。それはやはりレンジャーズが2010年から2年連続でワールドシリーズに出場した余韻が残っているのだろうが、いずれにしてもすべての年でダルビッシュの登板日の平均観客数が、チームの平均観客数を上回っていた。 1試合平均だと+1532人。スポーツビジネス出版の「チームマーケティングリポート」によると、レンジャーズファンは家族4人で観戦した場合、1試合で平均203.14ドル(約2万4000円で、チケット代、駐車場代、ジュース代などを含む)を使うと報告されている。その数値を参考に換算すると、レンジャーズはダルビッシュの登板日に1試合あたり7万7803ドル分(約925万円円)ほどの売り上げを記録することになる。それを今季に置きかえ、本拠地で16回先発したとすれば、年間124万4842ドル(約1億4800万円)の売り上げ=損失が想定できる。