「遺族厚生年金」受給の注意点 「中高齢寡婦加算」の受給額、「死亡一時金」との併給についても解説
厚生年金から支給される「遺族厚生年金」には「短期要件」と「長期要件」という2つの支給要件があります。 元記事で画像を全てみる 今回は「遺族厚生年金」を請求するにあたり、「どちらの要件で申請すべきか」と「それに付随する一時金の受給の可能性」について検証します。
「遺族厚生年金」
「遺族厚生年金」を簡単に整理すると次のようになります。 ■「短期要件」 ・ 被保険者が死亡した時 ・ 被保険者であった者が資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある疾病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡した時 ・ 障害等級1級または2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡した時 ■「長期要件」 ・「老齢厚生年金」の受給権者(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が25年以上)または保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算した期間が25年以上ある者が死亡した時 「短期要件」では被保険者期間が300月未満の場合はみなし300(300月の被保険者期間があったものとみなす)が適用されますが、「長期要件」の場合にはみなし300の適用はなく、実際の被保険者期間を基に年金額が計算されるのがポイントです。 ■「中高齢寡婦加算」 また、「中高齢寡婦加算」においても「短期要件」と「長期要件」では要件が異なります。 なお、「中高齢寡婦加算」については、こちらの記事をご覧ください。 「中高齢寡婦加算」においては、「長期要件」の場合240月の被保険者期間が必要であるのに対して、「短期要件」ではそもそもみなし300の適用があるために240月を下回ることはありません。 考え方としては「長期要件」のみにしか該当しない場合には選択の余地はありませんが、「長期要件」「短期要件」両方に該当する場合に、どちらを選択すると受給額が多くなるのかを確認し、選択すべきでしょう。 また、「中高齢寡婦加算」は65歳に達するまでしか支給されず、その後は生年月日(昭和31年4月1日以前生まれ)によっては、「経過的寡婦加算」が支給されます。 ■「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」の受給額 受給額は以下の通りです。 ■□「中高齢寡婦加算」□□ 40歳以上65歳未満である間: 遺族基礎年金の額(遺族である妻と子供1人の場合約100万円)× 3/4 ■□「経過的寡婦加算」□□ 中高齢の寡婦加算 - 老齢基礎年金の満額(約78万円)× 妻の生年月日に応じた率