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価格1億円!世界が熱狂した「埼玉県産」超高級ウイスキーの味

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ウイスキーの本場といったらどこを思い浮かべるだろうか? イギリス、アメリカ――それだけではない。今、日本のウイスキーの評価はうなぎのぼりで、世界中の賞を総なめにしている。だが、肝心の日本人はその事実を知らない。しかし、それではもったいない――ウイスキー評論家の土屋守氏はそう語る。ここでは、ウイスキーをもっと美味しく嗜むために、日本のウイスキーの歴史や豆知識など、「ジャパニーズウイスキー」の奥深い世界観を紹介する。本連載は、土屋守著書『ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー』(祥伝社)から一部を抜粋・編集したものです。

1本300万円のボトルに、20万件の注文が殺到

現在、世界中でウイスキーブームが起きています。なかでも活況なのが、アメリカのクラフトビールブームからはじまったクラフトウイスキーです。クラフトウイスキーの波はスコットランド、アイルランド、さらには日本へも打ち寄せ、国内の各地でクラフト蒸留所が誕生しています。 日本のクラフトウイスキーは、すでに海外から高い評価を得ています。とりわけ、肥土伊知郎(あくといちろう)さんが創業したベンチャーウイスキーの「イチローズモルト」は世界中に熱心なファンがいます。 ベンチャーウイスキーは、埼玉県の秩父(ちちぶ)市に蒸留所をかまえるクラフトウイスキーメーカーです。2019年8月に行なわれた香港ボナムスのオークションでは、イチローズモルトのカードシリーズ54本セットが、約9750万円(719万2000香港ドル)で落札されました。これは日本産ウイスキーの落札額としては過去最高となります。 カードシリーズは、それぞれ異なる樽で熟成された原酒が瓶詰めされています。ボトルにはトランプのカードを模したラベルが貼られ、2005(平成17)年から2014(平成26)年にかけて順次発売されました。54本すべてがそろったフルセットは世界に数セットしかないといわれ、とても貴重です。そうはいっても、発売時の価格は1本平均で1万5000円、54本そろえても81万円です。それがおよそ120倍になったわけですから、いささか異常にも思えます。 一方、大手メーカーも負けてはいません。2020年、サントリーが「山崎55年」の発売を発表すると、テレビや新聞などで大きく取り上げられました。山崎55年について、サントリーのホームページでは次のように説明されています。 山崎蒸溜所で55年以上熟成を重ねた希少な山崎モルト原酒の中から、1964年蒸溜のホワイトオーク樽原酒や1960年蒸溜のミズナラ樽原酒など、熟成のピークを迎えた原酒を厳選し、匠の技で丁寧にブレンドしました。 価格は1本300万円で100本限定。予約が殺到することが予想されたため、抽選販売という形が取られました。 「1本300万円のボトルに注文が殺到するなんてことがあるの?」と、びっくりされた方もいるでしょう。けれど、昨今のウイスキー人気を少しでも知っている方なら、抽選販売もやむなしと思ったはずです。私自身、1万件の申し込みがあってもなんら不思議はないと思っていました。 サントリーは2005年に山崎50年を50本限定で発売しています。価格は100万円。これが、2018(平成30)年に行なわれた香港サザビーズのオークションに出品され、約3800万円で落札されたのです。山崎55年をオークションに出せばその価格はゆうに超えるでしょう(実際、2020年の8月に約8500万円で落札されました)。今、ウイスキーは投資の対象にもなっています。ゆえに、応募数が1万件を超えることもありうるといったのです。新聞社や週刊誌からの問い合わせにも、そのように回答していました。 ところが、です。 応募受付が終了したある日、サントリーの関係者からこういわれてしまいました。「土屋さん、申し込み件数は1万どころじゃありませんでしたよ。実際には20万件の応募がありました」。ジャパニーズウイスキーの人気を、誰よりも私が過小評価していたようです。 ただ、ジャパニーズウイスキーはずっと順調だったわけではありません。1984(昭和59)年から2008(平成20)年にかけて、国内のウイスキー市場は大きく落ち込みました。何をつくっても、どう宣伝しても売れない。そんな冬の時代があったのです。

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