近年なぜ注目されるのか? TBSラジオの深夜を担う宮嵜守史が考える音声メディアの魅力
ラジオを終わらせないために大切なこと
宮嵜は2012年にプロデューサーとなり、ラジオ番組の制作に現場で密に関わることは少なくなった。ディレクターとしての矜持を持っていたものの、最近は後進の才能に目をみはるものがあるという。 「空気階段が『キングオブコント2021』で優勝したのが10月2日の土曜日で、10月4日月曜日の24時からの『空気階段の踊り場』の生放送に、ふたりと長く深い関係性のある峯田和伸さんがサプライズ登場しました。それを仕込んでいた企画力やスピード感を目の当たりにすると、こういう番組を作る人たちが活躍する場や機会を作ることこそが、ラジオの未来につながっていくのだろうと思いましたね」 特に放送業界は、不特定多数に情報を発信する立場として、制作する人間の感覚を常にアップデートしていくことが重要である。常に新しいコンテンツを届ける媒体だからこそ、循環が求められ、同じことを続けていれば会社としてはもちろん業界全体も衰退の道を進んでしまう。宮嵜はラジオの未来をこう考えている。 「 放送と配信の境目がなくなり、放送局が作るタイムテーブルはあってないようなものになるかもしれません。接触機会も使い勝手も向上するでしょう。そうなると、リスナーの聴取習慣も次第に変わり、“聞きたいものを聞きたいときに”が主になるに思うんです。もしかしたらコンテンツの細分化と集客の分散が顕著になり、マスではなくなるかもしれない。 一方、大人数で”好き”を共有する空間や時間の需要は持続するはずです。だからそのニーズを的確にとらえてワクワク感を届け続けなければなりません。 ただラジオ放送で言うと、災害時の情報提供をはじめ、人に寄り添うメディアとしての社会貢献(使命)は忘れるべきではないとも同時に思っています」
宮嵜守史 みやざき・もりふみ 1976年7月19日生まれ。群馬県草津町出身。 ラジオディレクタ―/プロデューサー。TBSグロウ ディア イベントラジオ事業本部 ラジオ制作部 所属。 TBSラジオ「JUNK」統括プロデューサー。ラジオ以外にもYouTubeチャンネル「矢作とアイクの英会話」「岩 場の女」ディレクターを務める。自身のラジオ人生を綴った 初の書き下ろしエッセイ『ラジオじゃないと届かない』 が3月22日にポプラ社より発売。