小中学生にパソコン「1人1台」は何をもたらすか
コロナ禍により、テレワークやオンライン授業、オンライン診療など、社会のデジタル化が一気に加速したが、同時に行政サービスなどのデジタル化の遅れが露わになった。そこで菅政権は、政策の最優先課題としてデジタル化を強力に推進する方針を示している。 本連載『暮らしの「脱アナログ」最前線』では、デジタル化の加速によって私たちの暮らしや働き方がどのように変わるか、未来はどのような姿になっているのかを考えていく。 ■小中学生「1人1台」は実現間近だが…
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年3月より開始された小中高校の全国一斉休校は、地域によっては最長で約3か月に及んだ。この間、遠隔授業などで授業を継続できた学校はごく一部にとどまり、ほとんどの学校ではもっぱら家庭学習(宿題)に依存していたとされる。 この事態を受け、政府は2020年度補正予算として約2,200億円を投じ、「GIGAスクール構想」を前倒しで進めている。これにより2020年度中には、すべての小中学校において、PCやタブレット等の端末が「1人1台」整備される見込みだ。
「1人1台」の実現が見えてきた今、重要なのは、端末を使ってどのような教育を実現するのか、である。 野村総合研究所は、教育のデジタル化により子どもたちの学び方が変わり、さらには先生の役割も変わると予測する。具体的には、デジタルツールの活用により、子どもの習熟度に応じてカスタマイズ(個別最適化)された学びが可能となる。また、教師は授業だけでなく、子どもの学習状況を見守り、アドバイスする役割にも重きを置くようになるだろう。
近年、塾や予備校向けに、デジタルツールを利用し生徒一人ひとりの学習内容をカスタマイズするサービスが急速に広がっている。 有名なサービスとしては、「Atama+」や「Qubena」などがある。「Atama+」は、駿台予備学校や明光義塾といった大手学習塾の一部教室でも導入されている。また「Qubena」は、2020年9月時点で100以上の自治体、750校以上の小中高校に利用されている。 これらのサービスの特徴としては、