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なぜ「ホンダe」は航続距離を割り切ったのか? FWDをやめてRR方式を採用した理由

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GQ JAPAN

ホンダらしさとはなんぞや?

これまでアメリカ市場を中心にしてきたホンダがヨーロッパに回帰したのは、ホンダeの開発がEUのCAFE(Corporate Average Fuel Economy)対策をきっかけに始まったからだろう。 EUのCAFEは2020年から、それまでの1台平均のCO2排出量が130gから95gに削減された。ガソリン車の燃費に換算すると、100km当たり4.9リッターを4.1リッターに、日本風にいえば、リッター20.4kmを24.4kmに引き上げないと、罰金が課される。 ただし、イノベーションを促すため、という名目で、EV(電気自動車)に代表される低排出ガスのクルマは、2020年は2台、2021年は1.67台、2022年は1.33台とカウントされる。最近、ホンダをはじめとする各社がEVを続々と投入しているのは、このCAFEの特例を用いて新基準をクリアするためなのである。 で、開発を任された一瀬さんはまず、現状を知るべく、ヨーロッパに飛んだ。EV自体はまだ少なく、都市にはあいかわらず、オシャレな小型車がひしめいていた。そして、街にホンダ車はなかった。 「ホンダのプレゼンスをあげたい」 一瀬は思った。と、プロジェクトX風。 スタッフを交えて、「ホンダらしさとはなんぞや?」と根本的なところに立ち返った。一瀬はあるとき、静岡県浜松市の山奥にある「本田宗一郎ものづくり伝承館」を訪れた。創業者・本田宗一郎が掲げたことばがそこにあった。 「当社は絶対に他を模倣しない。どんなに苦しくても自分達の手で 日本一、いや世界一を」 ♪風の中のすばる~。 一瀬は、2030年の未来を見据えた、先進性のある、街中での使用を前提としたEVをやる、と、決めた。そして、2030年の世界は、いろんなものが有機的につながっている、と考えた。自分の家のリビングから仕事場まで、シームレスに。その“シームレスライフ”をつくる、街中でいちばんいいクルマにしよう。 ♪風の中のすばる~。 他社のEVは、EVでガソリン・エンジンに匹敵する能力をなんとか得ようと、大きなバッテリーを積むことになって、取りまわしのよくないものになっている。その呪縛から1回逃れて、都市部で使いやすい、未来の技術を詰め込んだ、スマートフォンのようなものを目指す。 かくして全長4mを切る、ヨーロッパでいうBセグメント、ホンダ車ではフィットぐらいのサイズで、一瀬氏はこのことばは使わなかったけれど、かつてのホンダのMM思想、メカ・ミニマム、マン・マキシマムを思わせるEVを生み出した。

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