神楽面職人が伝統芸能支援賞 柿田さん、高い技術に評価
石見神楽面を製作する柿田勝郎さん(78)=浜田市熱田町=が、伝統芸能の保存継承を支援する一般財団法人地域伝統芸能活用センター(東京都)の2020年度表彰で、最優秀に次ぐ地域伝統芸能大賞(4個人・団体)の「支援賞」に選ばれた。新型コロナウイルスの感染拡大で神楽産業も影響を受ける中、「先人の努力があってこそ。深く感謝する」と喜ぶ。 浜田市出身。幼いころからものづくりが好きで、勤務していた松江市の文具会社を1972年に辞めてUターンし、神楽面製作の世界に飛び込んだ。 独学で始めた製作。当初は苦労が多かった。先輩たちに作業量だけでも追いつこうと時には徹夜して、作業に没頭した。古い面を修復する際、和紙の貼り方や筆の使い方を参考にしながら腕を磨いた。団体のイメージに合わせた面を作り上げる高い技術が評判となり、注文が舞い込むようになった。 今では、軽くて丈夫な和紙の面を求めて、石見神楽の枠を超え、全国各地の伝統芸能団体からの製作依頼や、古面の復元といった難しい作業の依頼も受ける。
新型コロナウイルスの感染拡大で公演がなくなり、面の注文はもちろん、観光客向け飾り面の購入も減り、苦境に立つ。 ただ、「明けない夜はない」との信念で製作に打ち込み、「先人の努力という土台の上でできている。面作りの先人たちの末席に加えてもらえるよう努力したい」と意気込む。