日産初のFFモデルは「新世代のコンパクト」オーバーフェンダー付きのスポーツカー|1973年式 日産 チェリークーペ 1200 X-1・R Vol.1
【1973年式 日産 チェリークーペ 1200 X-1・R Vol.1】 日産初のFFモデルとしてチェリーが誕生したのは1970年9月のこと。「新時代のコンパクトカー」をコンセプトに、荻窪の旧プリンス開発チームによって着々と進められた。 11000rpmまで計測できるウルトラ製のステッピングモーター式に変更されたタコメーターなど【写真7枚】 当時の日産のラインナップを支えていたのはサニーだったが、チェリーはその下のクラスを狙ったモデルとなる。そのため、ボディはコンパクトなサイズながら、広い居住空間を確保する。しかも、販売価格を抑えるというハードルの高い目標が設定されていたのだ。 そのため、駆動方式をFFとし、搭載するエンジンはサニーの直列4気筒OHVのA10型と、A12型ツインキャブ仕様を流用。エンジンは横置きで、その真下にミッションを配置。可能な限りコンパクトにまとめることに成功した。 デビュー当初は、2ドアと4ドアのセダンのみでスタートしたが、1年後にはスポーティーなクーペを追加。一気にバリエーションが充実し、特に若い層からのクーペへの支持が高かった。中でも、A12型にSUツインキャブを装着したX‐1シリーズは、最強の動力性能を誇り、人気の的となった。 さらにチェリーの人気を押し上げたのが、1971年の「富士マスターズ250キロレース」でのこと。雨が降りしきる最悪のコンディションでレースがスタート。FFのメリットを生かした2台のチェリーが1周目からリードし、デビューレースながら見事にワン・ツー・フィニッシュを飾ってみせたのだ。 Vol.2/3に続く 1973年式 日産チェリークーペ 1200 X-1・R(KPE10ST) ●全長3690mm ●全幅1550mm ●全高1310mm ●ホイールベース2335mm ●トレッド前/後1270/1235mm ●最低地上高195mm ●室内長1560mm ●室内幅1270mm ●室内高1060mm ●車両重量645kg ●乗車定員5名 ●登坂能力tanθ0.417 ●最小回転半径4.6m ●エンジン型式A12型 ●エンジン種類水冷直列4気筒OHV ●総排気量1171cc ●ボア×ストローク73.0×70.0mm ●圧縮比9.0:1 ●最高出力80ps/6400rpm ●最大トルク9.8kg-m/4400rpm ●変速比1速3.014/2速1.973/3速1.367/4速1.000/後退3.388 ●最終減速比4.067 ●燃料タンク容量36L ●ステアリング形式ラックアンドピニオン ●サスペンション前/後ストラット・コイル/トレーリングリンク・コイル ●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング ●タイヤ前後とも165/70HR13 ●発売当時価格65万円
Nosweb 編集部
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