タヌキ社長のいる会社が日本を明るくする? バカ映画の巨匠が描く真骨頂
不条理どうぶつシリーズ最新作! バカ映画の決定版『タヌキ社長』
バカ映画の巨匠・河崎実監督の不条理どうぶつシリーズ最新作がついに始動! 『いかレスラー』『コアラ課長』『かにゴールキーパー』『猫ラーメン大将』に続く第5弾、気になるタイトルは、このゆるさがたまらない『タヌキ社長』(5月20日公開)。かつての東宝映画のドル箱スター・森繁久彌の『社長』シリーズにオマージュを捧げた本作では、大手酒造会社社長・信楽矢木雄(着ぐるみタヌキ)を主人公に、会社で起こる様々な出来事や、社長とOL との淡い恋を、歌と笑いと宴会芸満載で描く。 ⇒【写真】初主演映画で美声を披露した町あかり ヒロイン・房子を演じるのは、これが映画初主演となるシンガーソングライターの町あかり。自らを中二病ならぬ“永遠の小二病”と語る河崎監督のもと、昭和歌謡を愛する令和の歌姫・町はどんな新境地を拓くのか? 「言わせてはいけないことを言わせてしまった!」(河崎監督)、「なんか面白くなっちゃって、ぎゃはは!」(町)…予想以上に馬が合う名コンビに本作の魅力を語ってもらった。
何かと暗い世の中、とにかく笑ってほしかった
――本作は、2008年の『猫ラーメン大将』以来の不条理どうぶつシリーズということですが、なぜ今、『タヌキ社長』だったんですか? 河崎:新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出た時、もう何もやることがなくなっちゃって、どうしようかなと思っていたら、町さんの方から「何か企画ないですか?」と打診があったんですね。とにかく世の中真っ暗だったし、来年もどうなるかもわからなかったので、「何も考えず、平和で笑える作品を作ろう!」ということで、クラウドファンディングを利用して製作資金を集めることにしました。その時、ふと頭に浮かんだのが森繁さんの『社長』シリーズだったんです。 ――まさに『社長』シリーズへのオマージュ満載でしたが、いつかやりたいと心のどこかで思っていたんですね? 河崎:そうなんですよ。クレージーキャッツ、『若大将』シリーズ、『社長』シリーズは僕にとって特別な存在ですからね。ただ、『社長』シリーズを普通にやっても面白くないので、今、日本の伝統工芸として注目を浴びている信楽焼のタヌキを主役にしようと。心の優しい社長なんですが、なぜかタマキン丸出しという(笑)。着ぐるみとはいえ、完全にコンプライアンス無視してますけどね。 ――確かに“出てます”が、愛すべきキャラクターですよね(笑)。コロナ禍で、資金も限られているので、撮影は大変だったのでは? 河崎:今回は、いつにも増してお金がないので1日半で撮影したんです。綿密にスケジュールを組んで、現場に入ったら、とにかく迷いなく撮るだけ。9時から昼までに会社のシーンを全て撮って、そのあとライブシーンを撮って、夜は料亭…という具合に、ほぼ香盤表(スケジュール表の一種)通りに進め、徹夜もありませんでした。 町:本当に凄いんですよ! もうあんな早わざは河崎監督にしかできないです。サクサクサクっと、とにかくお見事でした。