託されたモモを氷見・速川の特産に 安達さん果樹園、住民が栽培継承
●生前依頼、メモ参考に オーナー制度、加工品検討 昨年8月に亡くなった氷見市田江の税理士安達長俊さん=享年(77)=が長年育ててきたモモ園を地元の速川地区の住民が守っている。「速川果樹愛好会」を結成し、安達さんが遺したメモを基に栽培して40本の木にたわわの実を付けた。今夏は小ぶりで安達家や住民に配るのみとなったが、愛好会は託されたモモの品質を高め、来年以降、オーナー制度の導入や加工品開発など6次産業化を図り、地元の特産を目指す。 安達家は藩政期、田江村の肝煎(きもいり)(村長)を務めた家柄で、安達さんが20年以上前に父親から譲り受けたモモの木を少しずつ増やし、柵を設置してモモ園を整備した。採れた実は主に親類や近所に配られ、甘くて喜ばれた。安達さんはモモのオーナー事業などの構想を持っており、亡くなる前、東京に住む長男の長宏さん(44)や栽培を手伝っていた友人の坂本繁雄さん(72)=田江=に「モモ園を守ってくれないか」と頼んだ。 安達さんの思いを受け継ぐため、坂本さんは田江の住民らに呼び掛け、昨年4月、速川果樹愛好会が結成された。事務局を担う坂本さんは果樹園を相続した長宏さんとともに、安達さんが栽培方法を記したメモやJAのホームページを参考に、摘果や防除を行った。 今季は摘果のタイミングが遅れ、実は小ぶりになったものの糖度は高く、5日に富山県立大生が農業体験で収獲した際、試食した学生から「甘くておいしい」と好評だった。安達さんは昨年、ミカンの木も植えており、愛好会が栽培を継承する。 坂本さんは「来夏は大きくて甘いモモの収獲を目指して、研究を進めたい」と意欲を示した。長宏さんは「父から受け継いだモモ園が地域おこしにつながればうれしい」と話した。