首位独走の巨人、強さの源はどこに? データが示す傑出した攻撃力と守備力
スタートダッシュを決めると、その後も大型連勝を重ねた前半戦の巨人
前年優勝の勢いは衰えず、原辰徳監督が球団歴代1位の勝利数を達成。さらに、9月9日にマジックを点灯させるなど順風満帆のシーズンを送っている巨人。そんな巨人のペナントレース前半戦を、得点と失点の移動平均を使って、チームがどの時期にどのような波に乗れたかを検証する。(数字、成績は9月15日現在のもの) 【動画】「球際つよっ」巨人・吉川尚輝が見せたジャンピングキャッチの実際映像 移動平均とは大きく変動する時系列データの大まかな傾向を読み取るための統計指標。グラフでは9試合ごとの得点と失点の移動平均の推移を折れ線で示し、「得点>失点」の期間はレッドゾーン、「失点>得点」の期間はブルーゾーンで表している。
開幕から4連勝、最初の5カードはすべて東京での開催(東京ドーム12試合、神宮3試合)と地の利があったとはいえ、10勝4敗1分とスタートダッシュに成功した巨人。7月第2週の関西遠征では3敗、3試合が中止と勢いが止まったかに見えたが、その後7連勝。さらには9月5日から8連勝(1分はさむ)と大型連勝を重ねた。 8月2日の9失点、8月6日の11失点の影響により一部ブルーゾーンが見えるが、それ以外は平均得点4.77、平均失点3.23という安定したチーム状況を示すグラフとなっている。
大城のいる捕手や坂本のショートなど複数ポジションででリーグ平均の得点力を上回る
次に、巨人の各ポジションの得点力が両リーグ平均に比べてどれだけ優れているか(もしくは劣っているか)を示したグラフになります。昨年のグラフと比較して、昨季の弱点が補えたのかどうかを検証してみる。
グラフは、野手はポジションごとのwRAA、投手はRSAA(失点率ベース)を表しており、赤ならプラスで平均より高く、青ならマイナスで平均より低いことになる。 昨季、FAで加入したセンターの丸佳浩、キャプテンでショートの坂本勇人、そして、若き4番打者の岡本和真による貢献は今季も健在。さらには、ファーストに復活した中島宏之、キャッチャーにはOPS.900を超える大城卓三と、昨季弱点であったポジションが大きなプラスに転じている。 また長年にわたって懸案とされていたセカンドのポジションでは、吉川尚輝が3分の2の試合で先発出場してリーグ平均の打撃成績を残している。他球団よりも厚みのある下位打線の形成に貢献していることがわかる。