103万の壁引き上げ明言 石破首相が所信表明「他党にも丁寧に意見聞く」
石破茂首相は29日の衆院本会議で所信表明演説を行った。年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」に関して「令和7年度税制改正の中で議論し、引き上げる」と明言。自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革について「党派を超えて議論し、年内に法整備を含め、結論を示す必要がある」と述べた。少数与党の現状を踏まえ「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう取り組む」と表明した。 経済対策の裏付けとなる6年度補正予算案の早期成立を目指すと表明。国民民主党との政策協議で論点になっているガソリン減税については「いわゆる暫定税率の廃止を含む」としたうえで「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」とした。 外交・安全保障では、米国のトランプ次期大統領について「率直に議論を行い、同盟をさらなる高みに引き上げたい」と対面会談に意欲を示した。中国に対しては「主張すべきは主張する。そのうえで協力できる分野では協力していく」とした。 肝いりの政策分野では、地方創生で自治体に配る交付金の倍増を「前倒しで措置する」と表明。自衛官の処遇改善は年内に結論を得て「可能なものから7年度予算案に盛り込む」との方針を示した。避難所の環境改善や内閣府防災担当の予算・人員強化も表明。相次ぐ闇バイト事件を受け、犯罪グループ摘発や防犯カメラ整備などを進めるとした。 北朝鮮による拉致問題は「政権の最重要課題」と位置付け、持論の日朝間の連絡事務所開設案には触れなかった。アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想や日米地位協定の改定にも言及しなかった。憲法改正は発議実現に期待を示すにとどめ、これまで「首相在任中」としていた年限には触れなかった。