“志望理由の9割は嘘だよ”…就職活動における真髄を語るビジネス漫画に 「割とド正論」「すごく響いた」の声【作者に聞いた】
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、11月9日にX(旧Twitter)にて4000件を超える「いいね」やコメントが寄せられた漫画『志望理由の作り方』を紹介する。電子書籍『漫画で学ぶ 転職活動』シリーズの第18話にあたる本作。制作したのは、転職や仕事、副業に関する分野で、ブログやビジネス書、最近はAIを活用した漫画の制作など、幅広く活動する作家の安斎響市さんだ。本記事では、安斎響市さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。 【漫画】“面接に本音なんて要らない”転職活動に悩む男性へのアドバイスがタメになる…志望理由の作り方に「個性をどう出せるかがカギ」の声 ■志望理由が浮かばない転職活動を行う男性に響く声 「志望理由が何も浮かばない…」と悩む転職活動中の男性に、「志望理由なんてみんなないよ」と励ますアドバイザー。男性は、「給料下がらなければ、ぶっちゃけどこでもいい」という本音を漏らすが、アドバイザーは「志望理由が待遇、は印象が悪い」と一刀両断する。 「転職エージェントに紹介されました」という正直な志望理由も「一発で不合格になるよ」とまたしてもアドバイザーに切り捨てられる男性。たとえそれが本音でも「コイツやる気なさそうだな」と面接官に思われてしまうのが理由だという。 重ねて、アドバイザーは「面接に本音なんて要らない」と切り出す。面接をするにあたっての根幹を揺るがすことを言いながら、面接官が求める答えについて語りはじめる。 人事部の採用担当が“本音を話してほしい”と語るのも建前であるとしながら、「志望理由の9割は、嘘だよ」とバッサリと言い切るアドバイザー。そして、面接における志望理由とは一体何なのかを語り始め――。 この面接に関する漫画を読んだ人たちからは、「割とド正論」「すごく響いた」「その上で個性をどう出せるかがカギ」「会社側だってそうだからお互い様だよね」など、多くのコメントが寄せられている。 ■賛否両論あるからこそ本質をつくテーマ ――今回は「志望理由の作り方」ということで本作を創作したきっかけや理由があればお教えください。 2024年の春頃から、画像生成AIを使った漫画シリーズで「漫画で学ぶ 転職活動」という作品を制作しています。一通り読むと転職活動に必要な知識が手に入る、というコンセプトで、本作はその第18話に当たります。多くの人が悩む「志望理由をどういう風に言えばいいのか分からない」という課題に対する一つの考えを示したものです。 ――「志望理由の9割は嘘」や面接官の本音をはっきりと伝えているシーンが非常に印象的でした。本作で「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。 この話は賛否両論ありそうだと思いながら作りました。採用面接において、例えば社員が5名しかいないスタートアップ企業で6人目の人材を採用するのであれば、本音で分かり合える人に内定を出すのが良いと思います。一方で、社員が1,000人以上いる会社で営業担当者を一人増員するなどの場合、別に面接官は候補者の本心をすべて知りたいわけではなく「採用決定の根拠」を集めているだけ、というケースがほとんどです。向こうも仕事でやっているので、こちらも割り切って「評価されそうな答え」を用意した方が、企業側も求職者側も、お互いに良い結果になると思います。 ――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。 「できるだけ強い説得力があってツッコミどころのない志望理由を作って、相手に分かりやすく、ロジカルに語るのが大事なんだ。それが本音かどうかは、この際どうでもいい。入社後だって、上司や同僚に全部本音をブチまけないだろ??」というセリフです。私は普段、もう少し堅めのビジネス書やWebメディアのコラム記事なども執筆しているのですが、こういう砕けた表現ができるのは漫画ならではだな、と思っています。文章だけで書くとややキツい印象になる内容でも、漫画の登場人物のセリフにすれば自然と読者にも伝わりやすいです。 ――企業側で面接官をされていたご経験があると伺いましたが、これまで面接官をされてきて1番印象的だった志望理由は何ですか? 実は、「良い例」よりも「悪い例」の方が印象に残ったものが多いです。「もう地方転勤を繰り返すのは嫌なので転勤が無い会社を探している」「御社は有名企業でブランド力もあるので憧れていた」など、あまりにも正直過ぎて評価に値しない残念な回答が数多くありました。面接官は、「この人をなぜ採用するのか」という具体的な根拠を後で社内で説明しないといけないので、「転勤したくないから」と本音を言われても困るんですよね。気持ちは分かるけど、それは面接で言うことじゃないよね、という話です。 ――これまで実際に何度か転職をされていると伺いましたが、実際に転職活動をされていた中で1番大変だったエピソードをお教えください。 今まで受けて来た面接の中で、最も難解だった質問が「仮にあなたがアベンジャーズの上司だったら、キャプテンアメリカとトニー・スタークの仲をどう取り持ってチームマネジメントをするか?」という内容でした。しかも、外資系企業の面接だったので、それを全部英語で説明しなくてはならず、非常に苦労しながら答えました。結果、その面接には落ちたのですが、何と答えれば正解だったのかいまだによく分かりません。 ――転職活動において大切なことや気を付けるべきポイントなどについてお教えください。 やはり、転職活動全体を通して最も大事なのは、「相手の立場で考えること」です。面接官の意図や、企業側が求めているものなどを常に意識して、「相手が採用したくなる人材になり切る」ことこそ転職活動の極意であり、必勝法だと私は信じています。その意味では、今回の漫画で表現した「面接に本音なんて必要ない。相手が採用したくなる答えを差し出せばいい」というお話は、まさに直球で転職活動の極意を伝えているものです。 ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします! AIコミック『漫画で学ぶ 転職活動』シリーズ第1巻~第5巻は、現在無料で配信しています。今後も大体、毎月1冊くらいのペースで制作する予定です。漫画制作について完全素人で初心者の私でも、AI活用によって無理なくこのような活動ができるのは、本当に良い時代だと思います。転職活動について学びたいけれど、書籍を読む時間がない...という人は、ぜひ私の無料漫画で楽しみながら勉強してみてください!!