中高年リスキリングを待ち受ける「3つのリスク」 定年後、ホワイトカラーの仕事に就けるのか?
2023年12月にマンパワーグループが発表した「2024 Global Talent Shortage」によると、日本の組織の85%が人材不足で、この割合は調査した国の中で1番高く、世界平均の75%と比較してもより大きく顕在化している課題だといえます。 一方で、2023年にWHOが発表した世界保健統計において、日本は平均寿命、健康寿命ともに世界ランキング1位となっています。健康寿命が今後延びていくことを前提にするならば、生活する時間も、働くことが必要な時間も長くなると考えられます。
日本のリスキリング第一人者である後藤宗明さんは、「リスキリングで現在の雇用に頼らない人生とキャリアを自ら創造する」時代だと言います。著書『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』(朝日新書)より一部抜粋・編集してお届けします。 ■定年後にホワイトカラーの仕事に就くために 技術的失業が加速度的に進むと、圧倒的に事務職を前提としたいわゆるホワイトカラーの仕事が自動化されていきます。一方で、少子高齢化が進んだ中で想定される労働供給制約社会においては、エッセンシャルワーカーの人材が圧倒的に足りない状況が続きます。
こうした状況下で、定年後もホワイトカラーの仕事で働き続けたい方にとって必要なことをここで整理しておきたいと思います。 まず、現在ホワイトカラー人材の方がホワイトカラー分野の仕事に就き続けるためには、何といっても、「自分自身をリスキリングしていく」スキルを持っていることが重要です。 例えば、大企業で役員まで上り詰めた経験がある有名経営者の方であれば、顧問やアドバイザー、社外取締役といった毎月定期収入のあるポジションに就くことができるかもしれません。
しかし、定年や引退した時点での実績や、その当時のままの知識やスキルのお釣りで食べていけるような方は、ごくまれな存在になっていくと思われます。 多くの方々は、次々に新しく生まれてくるテクノロジーなどによる外部環境の変化、海外から輸入されるビジネス上の新しい習慣に合わせて、自分の価値観や働き方を時代に適応させ、学び続ける必要があります。まさにそれが「自分自身をリスキリングし続ける」スキルです。 デジタル分野などの成長分野においては、これからも新たな仕事が生まれ続ける可能性があり、リスキリングを行うことで変化に上手に対応していくことができます。