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きものの文様【鹿(しか)】古代中国では神の乗り物であった聖獣

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家庭画報.com

きものの文様

きものに施された美しい「文様」。そこからは、季節の移ろいを敏感に取り入れてきた日本人の感性や、古来の社会のしきたりを読み解くことができます。夏の文様を中心に、通年楽しめるものや格の高い文様まで、きもの好きなら一度は見たことのある文様のいわれやコーディネート例を、30日の短期集中連載で毎日お届けします。

今日の文様20 鹿(しか)

古代中国では、鹿は神の乗り物といわれ、聖なるものと信じられてきました。さらに、鹿が「福禄寿(ふくろくじゅ。七福神のひとつ)」の「禄」と発音が同じであることから吉祥文様とされ、長寿のシンボルにもなっています。 日本でも鹿は延命長寿を表すといわれ、古くから絵画のモチーフなどに使われてきました。奈良の春日大社や広島の厳島(いつくしま)神社では神鹿(しんろく)と呼ばれ、神の使いとして崇められています。 鹿は単独で用いられるよりも、紅葉や秋草などの秋のモチーフとの組み合わせが主流です。古くは平安時代の小袖にも鹿と紅葉の文様が見られます。

鹿文(しかもん)

鹿は古くから人とのかかわりが深く、『小倉百人一首』(13世紀頃)に見られる「奥山に紅葉(もみじ)ふみわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋はかなしき」は有名。 文様としては弥生時代の銅鐸(どうたく)に始まり、正倉院(しょうそういん)の「麟鹿草木夾纈屏風(りんろくくさききょうけちびょうぶ)」などの染織品にも見られます。現在は秋の風物と組み合わせて、きものや帯に用いられます。

有栖川文(ありすがわもん)

鹿を変わり襷(たすき)や菱形、八角形などで囲んだ文様です。有栖川宮が所蔵していた名物裂・有栖川錦に見られるため、この名があります。鹿のほか、馬や飛龍などをあしらったものもあります。 ※茶の湯の世界では、わび茶の大成者である千利休(せんのりきゅう)など著名な茶人が名品と認めた道具を名物(めいぶつ)と呼ぶ。名物裂(めいぶつぎれ)とは、これらの茶器の仕覆(しふく)や袱紗(ふくさ)などに用いられた裂(きれ)のこと。 この名物裂は桃山時代頃に中国を経て日本に伝わったとされています。現在もきものや帯、白生地の地紋などに使われています。この文様は季節を問わず通年使えます。

【向く季節】 通年、秋 『格と季節がひと目でわかる――きものの文様』監修者/藤井健三より。

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