館山 「下総牧羊場」の動き 縦糸に 白幡佐よ子氏が ブログで小説化
躍動の明治 生き生きと活写
明治天皇の国賓通訳、平井希昌の活躍を追ったブログ小説を館山市の主婦、白幡佐よ子氏(ペンネーム・長尾賢佐)が完成させた。明治維新後、日本の軍服を欧米諸国と並ぶ品質にするために導入された「下総牧羊場」の動きを縦糸に、大久保利通、伊藤博文、大隈重信ら重鎮との関わりを緯糸(よこいと)に編んだ時代小説。史料に基づいた忠実な歴史小説で、館山市との関わりもある。白幡氏は若いころからの作家志望。時代に合わせたブログで夢を紡いだ。
小説は『千葉県下総牧羊場 明治時代の壮大な夢の跡 平井希昌の活躍』。「知友」と「私」という現代の若者2人が登場して、明治時代に起こった事件を解明していく。参考史料は、明治天皇の国賓通訳の平井希昌の曾孫(ひまご)で、貿易商の平井靖人氏(東京都在住)からアドバイスを受けて、東京大学史料編纂(へんさん)所に提出された「唐通詞平井家史料」を基に、明治初頭に発足した下総牧羊場の歴史を丹念に追っている。
なぜ、羊の疫病が大流行を起こしたのか、なぜ、牧羊場主任の御雇米国人、アップジョンズが運営に行き詰まったのかを時系列に解明していく。
また、これらに関わった大久保利通、伊藤博文、大隈重信、中江兆民らの動きも追い、それと同時に明治初頭に館山市に在住した大井誠之助と林栄之助が、下総牧羊場に関係していたことを調べ上げて、小説として書き上げた。
大井と林の菩提(ぼだい)寺は、館山市の源慶院であり、平井希昌の菩提寺は南麻布の光林寺。これらの菩提寺と大井、林の調査は、館山市の郷土史研究家、愛沢伸雄氏が担った。
スマートフォンブログ小説完成を記念して、平井靖人氏、愛沢氏、源慶院住職らが館山市のレストラン「季の音」に集まり、白幡氏とともに懇談しながら、小説の完成を祝った。
白幡氏は若いころ、東京都内で小説家に師事。小説の作法など一式を学んだ。平井靖人氏とは古くからの知人。
ブログ小説らしく、写真や史料もふんだんに織り込み、現代のエッセンスが加えられている。