今年度補正を閣議決定、一般会計総額13.9兆円-歳出の平時化足踏み
(ブルームバーグ): 政府は29日、一般会計総額が13兆9433億円となる2024年度補正予算案を閣議決定した。規模は昨年度の補正を上回り、東日本大震災など過去の危機時に匹敵する。今年度予算の歳出は前年に続き120兆円台に乗り、新型コロナ禍で急増した歳出の平時化が足踏み状態にあることを示している。
歳出は経済対策関係経費が13兆9310億円と大半を占める。歳入面では税収の上振れ3兆8270億円、税外収入1兆8668億円、前年度剰余金1兆5595億円をそれぞれ活用。24年度の税収は上振れ分を加えると73兆4350億円と過去最高を更新する。不足分を補う新規国債の追加発行額は6兆6900億円とする。
政府は昨年度(13.2兆円)を上回る規模の補正予算で、物価高対策などを通じてさらなる経済の拡大を図る方針だ。一方で、債務残高の対国内総生産(GDP)比が世界で突出する中、財政の建て直しとのバランスも同時に求められる。25年度は基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化の目標年度で、今回の補正予算の執行が同年度にずれ込めば目標達成は危ぶまれる。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは28日付のリポートで、コロナ禍直後の危機から脱し、経済活動はほぼ正常化しているが、経済対策は過去の危機時並みの規模に達しており「過大な歳出」と指摘。財政目標の期限を前にしても、歳出規模の平時化が進まない現状について、「補正予算に恒常的な経費増大分の一部が計上されている状況下、予算管理のメリハリが失われている」としている。
今年度一般会計予算(当初)は112.6兆円で補正後は126.5兆円程度となる。23年度(補正後)は127.6兆円だった。新型コロナ禍の20年度の147.6兆円から減少傾向にあるものの、ほぼ横ばいにとどまっている。
加藤勝信財務相は同日夕の記者会見で「財政健全化の旗を降ろさず、歳出改革の努力を行っていくことが重要」と述べた。経済成長を実現する中で、中長期的な財政健全化にもつなげていく考えを示した。