子どもが持ってうれしくなるモノを Hameeがキッズ向けスマホを開発する理由
見守り機能を備えた子ども向けのケータイやスマホは、大手3キャリアには“定番”としてそろっている。一方で、SIMロックフリースマートフォンやMVNOなどでは、まだまだ珍しい存在だ。そんな中、「プレスマホ」のコンセプトを掲げ、小学生をターゲットにしたスマートフォンが2021年2月下旬~3月上旬に発売される。それが、Hameeの開発した「Hamic POCKET」だ。 Hamic POCKETの主なスペック Hameeは、「iFace」などのスマートフォン向けケースでおなじみのメーカー。携帯電話やスマートフォンの周辺機器は、早くから手掛けていた一方で、スマートフォンそのものの開発は初になる。メーカーが独自に販売するモデルだが、いわゆるSIMロックフリー端末ではなく、IIJの通信を組み込んだ形で出荷。端末と通信、さらにサービスを一体にしたビジネスモデルを採用する。本体価格は1万5000円(税別、以下同)で、月額料金は1GBのデータ容量付きで1000円。 技術的にも、OSにAndroid 9 Go Editionを採用していたり、組み込み型のチップSIMを採用していたりと、チャレンジングな取り組みが多く、注目しておきたい製品の1つだ。では、なぜ周辺機器を開発していたHameeが、小学生向けのHamic POCKETを開発したのか。同モデルを企画した経緯や、開発の背景などを、Hamic事業のプロジェクトマネージャー藤澤利之氏と、同事業のアンバサダー河合成樹氏にうかがった。
キャリアとケンカしても、後発では勝てない
―― Hameeは、スマートフォン向けのアクセサリーや、ECなどが主力事業です。なぜ、スマートフォン、それも子ども向けの端末を手掛けようと思ったのでしょうか。 藤澤氏 スマートフォンという問いかけですが、実は私たちはスマートフォンを作っているつもりはありません。サービスを提供したいというところから始まっているからです。Hamicとは「Happy Mobile IoT Communication」の略で、コミュニケーションを通じて幸せにつながるような形でIoT機器を使っていただくというのが名前の由来です。どうやってHappy Mobileにするか。その1つとして、社長に自分の子どもが生まれ、子どもたちを見ている中で、彼らを見守りながらサービスができないかと考えたところが出発点です。Hamic POCKETは、その手段としてできたものです。 Hamic POCKETは、スマートフォンを使う前に、子どもたちがインターネットの世界に慣れるためのものです。インターネットを教えることができ、かつ親が見守っている中で提供できるサービスになります。その手段として、スマートフォンの形になっています。それを、安く、早く作るためにAndroidが選択されました。安く作るためには、ハードウェアのリソースを絞らなければならず、その結果としてAndroid 9 Goが選択されています。 ―― 子ども向けの端末という意味だと、キャリアにも多くのモデルがあります。独自にやろうと思った理由や勝算を教えてください。 藤澤氏 そこは、最初に議論しました。キャリアとケンカしても、後発では勝てないですから(笑)。彼らと競争できるところもあります。キャリアのサービスは、どうしても縦割りになってしまうからです。例えば親がD社を使っていると、D社のキッズケータイだと安くなりますが、他のキャリアだと使えなかったり、高くなったりします。MVNOが出て、格安SIMを使う人が増えている中、子ども向けだけをなぜキャリアのキッズケータイにするのか。そこはぶつかっていけるところです。私たちは3キャリアのSIMカードではなく、IIJの回線を使っています。そこは競争力があるところです。