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京大・本庶佑氏vs小野薬品の泥沼裁判 特許収入巡りこじれた決定的理由

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日刊ゲンダイDIGITAL

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京大特別教授と小野薬品工業の争いが、泥沼化してきた。今月5日、本庶氏が京大で記者会見し、大阪地裁への提訴の意向を表明したのである。ふつうの感覚であれば、相手はノーベル賞学者だ。オプジーボで巨額の利益を得ている小野薬品が歩み寄ってもよさそうだが、事態がここまでこじれた理由を聞くと愕然とする。小野薬品の“態度”に本庶サイドは怒っているのだ。  今度の裁判は、米製薬会社「メルク」が開発した薬「キイトルーダ」がオプジーボの特許権を侵害したことが発端だ。小野薬品とオプジーボ共同開発のパートナー、米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)はメルク相手に2014年以降、米国などで裁判を起こした。本庶氏にも協力を求め、その際メルクから小野薬品が受け取る賠償金などの40%を本庶氏に払う約束だったのに、ほごにされたというのが本庶サイドの言い分だ。  本庶氏の代理人弁護士、井垣太介氏が言う。 「14年9月、小野薬品の相良暁社長が京大を訪ねてきて、本庶氏に裁判への協力を求めたのです。裁判では特許が有効であること、キイトルーダがその特許を侵害していること、2つの立証が重要で、そのためには本庶先生の協力が不可欠でした。そこで、明確な協力の条件を求めたところ、相良社長がメルクから小野薬品に入ってくる額の40%を支払うと言ってきました。本庶先生は、その場でもその後のミーティングにおいても更なる増額を求めたものの、小野薬品はこれ以上は出せないし、時間が迫っているのでとにかく訴訟には協力して欲しいと言うので、本庶先生は少なくとも40%は確保したと理解し、訴訟に協力することにしたのです。2年数カ月に及んだ訴訟に関連する作業は膨大で、米国の弁護士から送られてくるトータル1000ページを超える英文の裁判文書を本庶先生は1人で読み込み、専門家としてのチェック、赤入れをし、ディスカバリー手続きに対応するために京大の倉庫や研究室にあった古い書類を全て整理し、パソコン内のデータやメールなども提出した。欧米の弁護士とも何度も英語での打ち合わせを重ねて調査・検討、回答した質問の数も膨大でした。その結果、小野薬品とBMSは、メルクから巨額の金額を受け取る勝訴的和解を勝ち取れたのです」 ■「40%」の約束が「1%支払います」  問題はここからだ。 「それなのに、小野の相良社長は勝訴的和解に至ったことに関するお礼の連絡をしてこないばかりか、14年9月以来今日に至るまで、本庶先生から直接会って話したいと伝えても、一度も対面での直接協議に応じません。メルクから得た和解金についても、17年8月に書面で一方的に『1%を支払います』と通知してきた。その後、京大の理事が相良社長に会って、小野にとってもメリットになるように『小野・本庶基金』の創設を提案したが、相良社長は煮え切らない態度を継続し、最終的には、18年10月に突然、最大300億円を京大への寄付として出したい、その代わり、40%の話も、それまで提示してきたオプジーボのロイヤルティーの話(小野の売り上げの2%、さらに小野がBMSから受け取るロイヤルティーの10%を本庶氏に支払うとの提案)もなかったことにしたいと言ってきたのです」  本庶氏も京都大学もこれには到底納得しなかった。井垣氏は「額の多寡ではなく、40%を分配するから訴訟に協力して欲しいと言い、実際に本庶先生の協力を得て実質勝訴した後に分配提案を撤回するのは単なる債務不履行」と言う。小野薬品にも株式会社としての事情があるのだろうが、これでは日本の学者の知財は海外に流出するだけだ。

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