オードリー若林、深夜ラジオでの変化「最近は許していこうって」
主戦場は「『オールナイトニッポン』ですね」
――こういった文字を書くお仕事も含め、若林さんはいろんな仕事をされていますが、あえて主戦場をあげるとしたら何ですか。 それはラジオですね。『オールナイトニッポン』ですね。オードリーにとって、やっぱり1番ミニマムな環境なんですよね、ブースに入って密室で、春日という個体としゃべるという(笑)。漫才というものは、ああやって2人で対話することの先にあるものなので、元をたどっていくとラジオが主戦場ですね。 ――春日さんとラジオでお話されてる姿は、とても楽しそうに感じます。 アイツにそう言うのは悔しいけど、楽しいですね。なんか面白いんですよね、ああいう人間は僕から見たら信じられないので。 ――最近では相方同士で、プレゼントを渡し合ったりもされてますね。 春日という人間が、相方にプレゼント買ってくるなんて信じられないです。クミさんのマインドコントロールなんですかね(笑)。だからクミさんにも感動します。あの春日がプレゼント渡すって、俺にとったら神業です、信じられない。またそれに興味が湧いちゃうっていう(笑)。 ――若林さんは以前、春日さんをより知るために心理学の本も読んで研究したと話してました。そんな若林さんから見ても、クミさんの春日さんに対する接し方はすごいんでしょうか。 かなり驚いてますね、実は。ほんとに不思議ですね。結婚というか、クミさんの存在がデカいんでしょうね。 ■“おじさん”になることの許容「本気であれば伝わる」 ――オードリーとしてはお互いに結婚され、社会全体もコロナなどによってかなり変化しています。今後、オードリーの漫才の形も変わっていくんでしょうか。 こういう言葉で良いかわからないですけど、オードリーに対して、けったいであることを許していこうと。たとえば僕らは、若い子の前で『キン肉マン』のたとえをしちゃうんですが、若い子は「おじさんのたとえで分からない」って言いますよね。でも、そう言われてもいいって思ってるというか。あと、「『腰が痛い』とか『最近油ものが食べられなくなった』とかを言わずに、深夜ラジオやっていかなきゃ」って、武道館ライブ前ぐらいは思っていたんですが、最近は許していこうっていう気持ちがあります。 ――たしかに「おじさん」になったことの話題は、最近のラジオでもよくお話されてますね。 おじさんが、おじさんであることに自信が持ちにくくなってるのが気になっていて、「どんどんおじさんだって言われていこうじゃないか」「若い子に人気のスニーカー履いて、『鬼滅の刃』読んでってことは絶対やらないぞ」と思ってるというか(笑)。もちろん若い子は離れていくと思うんですけど、それでどのくらいやれるのかなと。つまり「カルビが食べられなくなった」とか「胃カメラが怖かった」とか、正直に話していくってことなんですけど。 ポリコレだとかコンプラが非常に強いですが、おじさんって傷ついても大丈夫だって思われてて、1番後回しにされてるなと思うんですよ。おじさんが太ってることに関しては誰でも言っていいみたいな(笑)。だけどおじさんだし、そういうこともどんどん言われていこうかなって思ってるんですよね。それで、1時3時の面白いラジオというのが、どのくらい成立できるのかすごく楽しみです。 ――おじさんになることを受け入れていらっしゃるんですね。 高橋ひかるちゃんがラジオのゲストに来たときに言ってて、他の若いラジオリスナーの子からも、「『キン肉マン』とかは知らないから、自分たちにとってはそれが最新の情報になる。調べて面白そうって思って、読み始めました」というような声が結構くるんですよ。これは、ラジオという環境もあると思うんですけど。つまり、おじさんが本気でものに対して興奮して、楽しんでいれば、伝わるんじゃないかなっていう仮説なんですけど。 ――以前、ラジオでも「興味と愛だけは捏造できない」と話されてました。 これはずっと考えていることなんですけど、商業であるから、ものを作る側も「これをやっている人は、持っている人はイケてるんですよ」って思わせないといけないじゃないですか。でも、そういうものに幅を決められているんじゃないかっていう気がしていて。もっと自分が興奮することを探していくと、年齢問わず何かあるんじゃないかなって思うんですよ。本気であれば伝わると信じているところがありますね。 ――だからこそ、若者に流行っているものなどに対して、安易には乗らないということなんですね。 しないと決めてるわけではないですけど、ただ若い人にこびて読む気持ちはないって感じですかね。でもテレビはお座敷芸で、リビングのご機嫌を伺うものではあると思うんですよ。だから、あまりにも若い子のたとえで出てきたら、俺は読みますけどね(笑)。
佐野裕亮