オンラインゲームにハマり、育児放棄をする妻…どう対処すべき?
妻がオンラインゲームにハマり、家事や育児をしないようになってしまった──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。 妻は遅くまでゲームをするため、起床するのは昼頃に。息子に朝ごはんを作らないようになったため、おかしいと思い始めたそうです。相談者が出かける際に自宅内を録音してみたところ、驚くべき様子がわかったといいます。 たとえば、妻はオンラインゲームを始めると、息子が構ってもらおうと、おもちゃを持って話しかけに行っても「しつこい」といって相手にしません。さらにバンという大きな音も聞こえました。息子を追い払うと、ゲーム相手と楽しそうに会話しているそうです。 相手と「大好き」などと話している声も録音されていました。 相談者は、妻の行為を「育児放棄」ではないかと思い、何とか改善できないかと頭を悩ませています。どのように対処するべきでしょうか。長瀬佑志弁護士に聞きました。
●育児放棄(ネグレクト)なら、刑事責任を問われる可能性も
──オンラインゲームにハマって、子どもの世話や家事をしないことで、妻に何か法的責任は生じるでしょうか。 妻がオンラインゲームに没頭し、家事や育児を放棄することは、「育児放棄(ネグレクト)」に該当し、刑事・民事それぞれにつき法的責任が生じる可能性があります。 刑事責任については、保護責任者遺棄等罪に該当する可能性があります(刑法218条)。これは、保護責任者が幼年者を遺棄し、またはその生存に必要な保護をしなかった場合に成立します。 妻がオンラインゲームに夢中になり、子どもに朝食を与えず、子どもが話しかけても無視する行為は、同罪に該当する可能性があります。 民事責任についても、育児放棄により子どもが心身に損害を受けた場合、損害賠償責任が生じる可能性があります。 また、家庭裁判所が親権の停止や喪失を命じることもあります(民法834、835条)。民法820条では、親権者は子の監護および教育をする権利と義務を有すると定められています。これに違反する行為は、親権の停止や喪失の審判の対象となる可能性があります。 ──妻の行為を放置したことについて、相談者(夫)の責任はないのでしょうか。 妻の育児放棄を放置した場合、夫にも以下の責任が生じる可能性があります。 夫が育児放棄の事実を知りながら適切な対応を取らなかった場合、「保護責任者遺棄等罪」の共犯として問われる可能性があるほか、夫も親権者としての責任を負っており、適切な対応を怠った場合、子どもに対する監護義務違反として責任を問われる可能性があります。 民法818条では、未成年の子は父母の親権に服すると定められており、父母双方に監護義務があります。これを怠ることは、民事上の責任を問われる可能性があります。