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【香港】米が香港制裁を本格化、輸出優遇を凍結

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NNA

 米国のロス商務長官とポンペオ国務長官は6月29日、香港を対象にした輸出規制を相次いで発表し、香港国家安全維持法の制定強行に対する本格的な制裁に乗り出した。中国政府や中国共産党、軍関係者などを主な対象とした従来の制裁と異なり、香港と中国本土を同様に扱う政策にかじを切った。  ロス氏は同日、香港を本土と切り離して扱えることを定めた米国香港政策法(香港関係法)に基づき、これまで香港に認めてきた米国からの輸出面の優遇措置を凍結すると発表した。輸出許可の免除などが対象になる。  ロス氏は声明で、香港国家安全維持法により「香港の自治権は大きく傷つく」と主張。米国のセンシティブな技術が香港経由で中国人民解放軍や中国国家安全省の手に渡るリスクが高まることが制裁発動の理由だと説明した。今後、香港に対しさらなる制裁措置を検討すると明言した。  香港国家安全維持法に対しては、トランプ大統領が5月29日、中国への対抗措置として、米国が香港に認めてきた経済的な優遇措置の廃止手続きを始めると表明した。今回の動きはその具体化が始まったことを意味する。  ポンペオ氏も6月29日、米国製の防衛(軍事)関連製品の香港向け輸出を禁じると発表し、即日実施した。本土に対する輸出制限に合わせる措置で、防衛技術や軍民両用技術についても、香港を本土と同様に扱う方向で動くとしている。  同氏も同日の声明で、「米国の防衛関連製品が香港経由で人民解放軍の手に渡るリスクを放置するわけにはいかない」と強調した。  ポンペオ氏は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が香港国家安全維持法を成立させた6月30日にも、「中国が一国二制度をひっくり返した」と厳しく批判する声明を発表。「今日は香港にとって、また自由を愛する全中国の人々にとって悲しい日だ」と述べた。  中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への事実上の輸出禁止措置など、ハイテク分野における米国の対中制裁は、商務省の産業安全保障局(BIS)が主に担っている。BISは今後予想される香港向けのハイテク制裁でも主役になりそうだ。  ■行政長官、懸念否定に躍起  香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は6月30日の定例会見で、「いかなる制裁で脅しても無駄だ」と米国を非難。米国が規制する製品は香港であまり使われておらず、他国・地域の製品で代替可能だと述べ、強気の姿勢を崩さなかった。  中国国務院(中央政府)香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任は1日、北京で開かれた記者会見で、中国政府と香港政府は米国の制裁に必ず報復すると強調。報復措置はこの先続々と出てくると明らかにした。張氏は「米国が一つの制裁措置を発動すれば、中国は15の報復措置を取る」と述べ、米中対立のエスカレートを辞さない姿勢を前面に出した。  ■「中継貿易に打撃」の声  サウスチャイナ・モーニングポスト(電子版)は6月30日、米国の輸出規制発動によって、中国企業は米国製の半導体、高度な暗号化通信システム、医療用レーザー装置、ビデオゲーム機といったセンシティブ技術を含む製品の入手が一層難しくなると伝えた。  米系法律事務所ステップトー&ジョンソンのウェンディー・ワイソン香港地区パートナーは、香港の中継貿易が影響を受けるとの見方を示した。米国は人工知能(AI)と通信で対中規制を強めていると指摘し、米企業は今後、関連製品の輸出に際して香港を仕向け地とすることに慎重になるだろうと予測している。  香港電子・技術協会(HKETA)の蔡剣誠(ビクター・チョイ)会長も、電子製品の再輸出ビジネスが最も大きな打撃を受けるとみている。また、香港におけるITの研究開発(R&D)にも影響が出るかもしれないと予測した。  蔡氏は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE)のゲーム機「プレイステーション」を例に挙げ、一部の同機には米国の非常に先進的な中央演算処理装置(CPU)やグラフィックチップが使われていると指摘。香港は今後、こうした製品を輸入できなくなるかもしれないとの見方を示した。

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