GP中国杯、男子は佐藤駿が初優勝でファイナル進出「今季の目標を達成できた」
【重慶(中国)=森井智史】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦、中国杯は23日、重慶で各種目のフリーが行われ、男子はショートプログラム(SP)首位の佐藤駿(エームサービス)が179・73点で2位に入り、合計278・48点で初優勝を飾った。佐藤はシリーズの成績上位6人で争うGPファイナル(12月、仏グルノーブル)進出を決めた。
女子はSP1位の千葉百音(木下アカデミー)が今季の自己ベスト141・05点で2位になり、合計211・91点で2位。SP2位のアンバー・グレン(米)が優勝した。SP3位の住吉りをん(オリエンタルバイオ)は4位、SP5位の渡辺倫果(三和建装)は5位。全6戦を終え、女子は千葉と松生(まついけ)理乃(中京大)のファイナル進出が決まり、出場6選手中5人が日本勢となった。
ファイナルへ「万全の状態で」
いつも静かな佐藤が感情を表に出して拳を握った。「優勝を今季の目標に掲げていたので。それが達成できたことがうれしかった」
冒頭の4回転ルッツがポイントだった。第2戦のスケートカナダでは転倒し、その後もミスが相次いだ。この日は「いつもなら失敗のようなジャンプ」だったが、それを感じさせない速い回転で着氷。2・14点の出来栄え点(GOE)を引き出した。これで最終滑走の緊張をほぐすと、その後は落ち着いていた。4回転フリップが2回転になるミスはあったが、「変な失敗ではない」と大崩れせず、点数を積み重ねた。
スケートカナダでの失敗を分析すると、ルッツで踏み切る際に氷上を削ってできる穴が「大きかった」と振り返る。日下匡力コーチによると、「ジャンプの力が下にいくと穴は大きい。ちゃんと反発を受けた時は穴が小さい」。その反省を踏まえ、「うまく力を伝える改善をした。1日ルッツ10回(成功させる)までやった時もある」と佐藤。拠点のリンクが通常営業の時間も一般客の間を縫うように練習を重ね、その成果を大事な試合で発揮した。
GPファイナルに初挑戦した2年前は4位で良いイメージを持っているという。「今回もいい演技ができるように万全の状態で臨みたい」。大舞台での表彰台を見据えている。(森井智史)