もっと考察『光る君へ』平安初心者の夫に「衣装の違いを知ると、ドラマがぐっと身近になる」と語ってみた(特別編)
十二単の出番は?
「そういえば女性の服装。十二単が放送前に予想してたほどは出てこないんだよな……女性は全員、あの重そうなのを着てるのかと思ってた」 「まひろが第2話、裳着の儀で身に着けた裳と唐衣……十二単は女房装束といって、高貴な人に仕える女性の仕事着なの。だから、ききょう(ファーストサマーウイカ)が清少納言として、中宮・定子(高畑充希)のそばにいるときは身に着けているのだよね。仕事着ではあるけれど正装でもあるので、19話で、まひろも中宮と帝に拝謁するときに着ている。で、その場で主人格となる女性は裳を着けない。『枕草子』では、関白道隆がお寺参りの際、中宮・定子が裳を着けているのを見て「ここでは中宮様が主人格なのだから」と裳を外させる場面が書かれているんですよ」 「あんな重そうな裳を着けたり着けなかったり、女性も男性も、服装で苦労するのは変わらんなあ」 「これから物語は、まひろが紫式部になってゆく。内裏での場面が主になるだろうから、女房装束……いわゆる十二単の出番はこれまでよりずっと多いんじゃないかな。なにしろ、ヒロインが着るんですからね」
全部頭には入らん
一気にいろいろ喋りたおしたのち、二煎目のお茶を淹れるため立ち上がる夫に私は聞いた。 「で、どう?『光る君へ』、これでもっと楽しめそう?」 急須をゆらゆらさせながら、夫は答えた。 「そんなに全部頭には入らんので、これからもドラマ見ながら横でずっと喋ってくれ」 「えーっ! これまで語ったのは一体……」 「楽しそうだから、まあいいかなと思って聞いてた」 長年、オタクの夫として暮らしてきただけはあり、適当に流す術を身に着けている。 とりあえず、これからも毎週夫婦で視聴は続けられそうである。 ******************* NHK大河ドラマ『光る君へ』 脚本:大石静 制作統括:内田ゆき、松園武大 演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう 出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、吉田羊、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗 他 プロデューサー:大越大士 音楽:冬野ユミ 語り:伊東敏恵アナウンサー *ドラマの設定(掲載時点の最新話まで)をもとに記述しています。 *******************
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