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『SLAM DUNK』宮城リョータのプレイが勇気をくれるワケ ハンデを武器にする男の格好良さ

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リアルサウンド

 「体の小さい人」というのは多かれ少なかれ、そのことを理由に侮られた経験があるのではないだろうか。小さいことはどうしても、弱さや力のなさに結びつけられがちだ。だからこそ、そんな風に見くびられた者が予想を裏切る強さを見せる瞬間には、この上ない痛快さがある。『SLAM DUNK』にもそんな立場の男がいる。湘北高校バスケ部の2年生・宮城リョータだ。 ボールを抱え、闘志みなぎる表情を浮かべた宮城がカバーの『SLAM DUNK 新装再編版 17』  身長168cmの宮城は、大概の選手より背が低い。マッチアップ相手との身長差が10cm以上なんてこともザラだ。宮城が試合に出ると、決まって相手チームやオーディエンスから「小さいな」という声が上がる。そのたびに宮城は神奈川No.1を豪語するスピードで相手を抜き去っては、驚きとともにその評価を覆していく。  インターハイ予選の陵南戦で、宮城はエース仙道をかわしてシュートを決める。「オレならいつでもブロックできると思ったかい?」不敵な笑みとともに言い放ったその言葉には、似たような状況を何度もひっくり返してきた自信が滲む。  実は作中、翔陽戦以降の試合に湘北で唯一フル出場しているのが宮城だ。コート上の監督とも呼ばれるポイントガードというポジションも相まって、そのプレーには視野の広さと安定感がある。試合で湘北が押されている場面では、宮城がボールをスティールして、「まずは1本」とチームに発破をかける。  実力より前に体格で判断されてきたであろう宮城は、チャンスは自力で掴み取るものだという思いが人一倍強い。前年の王者である山王工業との試合ではそんなマインドが強く表れているシーンがある。20点以上の差がつき、流川はエース沢北に抑えられ、三井は疲れきり、チームの支柱である赤木さえもペースを崩しかけた時、ボールに食らいついてメンバーに喝を入れたのは宮城だ。 「しっかりしろオ!! 流れは自分たちでもってくるもんだろがよ!!」  宮城にとって、体が小さいことはコンプレックスであると同時に「それでもここまでやってきた」というプライドでもある。山王戦、残り2分を切った土壇場で沢北と深津にダブルチームで行く手を阻まれた宮城は“こんなでけーのに阻まれてどーする ドリブルこそチビの生きる道なんだよ!!”と根性で抜いていく。その姿は、絶対王者の山王相手に無名の湘北が食らいついていく様子とも重なって見える。  そんな宮城にも怖気づく場面がある。山王との試合前、山王のキャプテン・深津とのマッチアップに緊張を隠せずにいる宮城に、安西先生はこう声をかける。 「相手はたしかに180cmと大きい……でも今さら何を恐れることがある? 子供の頃からずっとそうだったでしょう」  そう言われて宮城はハッとする。背が低いことは突然降って湧いたハンデではなく、宮城がずっと付き合ってきた自身の性質だ。相手の方が大きいなんて、百も承知のこと。目に力が戻り始めた宮城に、安西先生はさらにダメ押しする。 「スピードとクイックネスなら絶対負けないと思っていたんだが…君がそう言うなら計算違いだったかな」  舐められるのが当たり前の宮城だからこそ、誰かが自分を信じてくれた時、その実力は何倍にも発揮される。山王のゾーンプレスに圧倒されて冷静さを欠いた時もそうだ。マネージャーの彩子が手に書きつけた「No.1ガード」の文字をぐっと握りしめた宮城は、深津を抜き、さらにその口癖を真似て「スピードなら…No.1ガードはこの宮城リョータ――だぴょん」と後ろ手で流川にパスを通してみせる。“あんたはえらそーにして相手をおちょくるくらいがちょうどいいのよリョータ”という彩子の思いは、読者の総意だったのではないだろうか。  私たちはいつもジャイアントキリングを期待している。小さい者、侮られる立場の者が、予想を覆して強者を打ち倒す番狂わせが見たいと望んでいる。その光景は、ハンデもコンプレックスも乗り越える勇気を与えてくれるからだ。そんな期待に、宮城リョータはいつも鮮やかに応えてくれる。 「身長だけでバスケができると思うなよ、赤頭」  出会って早々、一対一を挑んだ花道に宮城が言い放ったこのセリフがなんとも宮城らしくて、眩しい。

満島エリオ

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