「最高値突破の主役」を担うのはどんな業界? いよいよ日経平均4万2224円超えの条件が整った
■「煮詰まる」日経平均、いよいよ最高値を更新へ もう片方の相場の柱であるAI・半導体関連株は、その将来性に異論はない。だが株価が人気化し、かなり先取りしてしまったこともあり、しばらくは逆張りに徹すべきだと考えている。 今回、AI技術の中核を担う「機械学習」の基礎と、その後「ディープラーニング」モデルの確立につながった、「連想記憶」と呼ばれる手法を開発した2人の学者が「ノーベル物理学賞」を受賞した。
これは、昨年の「生理学・医学賞」に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の実用化に貢献した2人の研究者が選ばれたことを思い出させる。 最も注目される材料の基本理論が表彰されることはもちろん素晴らしいことだと思うが、株式市場はそのタイムラグを買う市場だ。受賞者には限りない敬意と祝福を述べたいが、AI関連はこれから株価が2倍3倍になる業界ではないと考える。もちろん株価が大きく下がるとも思っていない。ハイテク株が大きく下ったら、日経平均の新値抜け期待など雲散霧消する。
さて今後の日経平均はどうなるか。7月11日の4万2224円から8営業日連続安を含む急落で3万7000円台になったあと「いったん反発」して同月末には3万9000円台に戻ったが、あの8月5日の4451円安で3万1000円台をつけて底を打った。現在は「いったん反発」した3万9000円台での強力な戻り売りを消化して、それを抜けようとしている。 つまり、日経平均は十分煮詰まっており、何度も跳ね返された3万9000円の水準を明確に超えつつある。そして、下落局面での「いったん反発」の3万9000円の地点は、今後、戻る局面では重要なターニングポイントになる。このターニングポイントから7月の最高値である4万2000円台までは「複雑な地形」はない。「すべり降りた跡」があるだけで、上昇への障害はなさそうだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト