中山美穂さんの親族に群がる「マスゴミ」に見えてしまう…「芸能人の死」を報じる新聞・テレビに欠けていること
■「被害者」「遺族」としてひとまとめに語ることはできない 「被害者の気持ち」「遺族の気持ち」に寄り添い、配慮を求める声は理解できるが、遺族という名の遺族はいない。気持ちや考えはその人の数だけあり、ひとまとめに語ることはできないというのが現場のリアルだ。 大きな原則に立ち返れば、ニュースを発信する報道の仕事は、第一義的に社会のなかで大きな関心を持たれている/持たれそうな情報を伝え、歴史に記録していく仕事ということになる。だからこそ、なぜ取材し、なぜ伝えるかを疑問に対して繰り返し答えることが必要なのだ。 社内でも繰り返し語り、説明が必要だと迫るだけでなく、メディア側が積極的に「なぜ」に答える。その都度「炎上」と向き合い、コミュニケーションを取らない限り、事態はいつまでも好転しないだろう。 ---------- 石戸 諭(いしど・さとる) 記者/ノンフィクションライター 1984年、東京都生まれ。立命館大学卒業後、毎日新聞社に入社。2016年、BuzzFeed Japanに移籍。2018年に独立し、フリーランスのノンフィクションライターとして雑誌・ウェブ媒体に寄稿。2020年、「ニューズウィーク日本版」の特集「百田尚樹現象」にて第26回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。2021年、「『自粛警察』の正体」(「文藝春秋」)で、第1回PEP ジャーナリズム大賞を受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象』(小学館)『ニュースの未来』(光文社)『視えない線を歩く』(講談社)『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)がある。 ----------
記者/ノンフィクションライター 石戸 諭