【米国株ウォッチ】「トランプ銘柄」の一角、パランティアの最新動向をチェック
今年、パランティア・テクノロジーズ株(ティッカーシンボル:PLTR)は絶好調で、過去1カ月で約30%の上昇、年初来では約3.6倍の上昇率となっている。 パランティア株が最近になって急上昇したきっかけは、米国の大統領選挙だった。投資家たちは、ドナルド・トランプ率いる次期政権が国家安全保障と移民に関する連邦政府の支出を増やすと考えており、そのことからパランティアのソフトウェアツールに対する需要も伸びると予想している。これとは別に、パランティアの共同創業者であるピーター・ティールとトランプは旧年来の盟友であり、ティールは次期政権内でもかなりの影響力を持つと見られている。 パランティアの株価を押し上げている要因は他にもいくつかある。同社は先日、連邦政府からFedRAMP(訳注:クラウドサービスを対象とする米国連邦政府の調達要件に関する認証制度)の「High Baseline Authorization」認証を取得したと発表した。この認可により、米政府機関はパランティアのクラウドを使用して機密性の高い非機密ワークロードを処理できるようになり、政府機関による幅広い導入が可能になる可能性がある。 さらに、パランティアは11月下旬にニューヨーク証券取引所からナスダックに株式上場を移しており、ナスダック100指数に採用される銘柄の最有力候補である。同指数は毎年改編が行われており、次回の更新は米国時間12月13日に発表される。ナスダック100指数への採用が決まれば、上場投資信託から買いも期待できる。 ■直近の株価と業績の動向 過去3年間におけるパランティア株の年間リターンは、S&P500種株価指数よりもかなり変動が激しい。2021年におけるパランティア株の年間リターンはマイナス23%、2022年はマイナス65%、2023年は167%だった。 パランティアの最近の業績はかなり好調だ。第3四半期決算で発表された収益は前年同期比30%増の7億2600万ドル(約1089億円)、純利益は1億4350万ドル(約215億円)で、前年同期比で約2倍増となった。GAAPベースの純利益率は20%、調整後の営業利益率は38%で、収益性も比較的高い水準だ。しかし、パランティア株の今後の行方には懸念があることも確かだ。 現在、パランティア株は2025年における予想利益の約140倍で取引されている。収益と株価との比較では、株価は予想収益の44倍以上で取引されている。同社の予想成長率を考慮すると、これらは非常に高い倍率だと私たちは考える。市場のコンセンサスでは、2024年と2025年における収益成長率の予想値はそれぞれ約25%となっている。これに対し、データクラウドや人工知能(AI)を手掛けるスノーフレークの株価は、収益の約12倍で取引されており、その成長率もパランティアと同様の範囲にある。パランティアの企業幹部による同社株の売却も増加しているが、これは一部の経営陣も株価が十分に評価されていると考えている結果なのかもしれない。
Trefis Team