帰国した主将の宮間が語った、なでしこJの課題
ロンドン五輪出場を争ったアジア最終予選も、前出の5カ国にタイを加えた顔ぶれのもとで中国にて開催された。世界女王の肩書を引っさげて臨んだなでしこだったが、タイ以外の中国、オーストラリア、中国にはすべて1点差の辛勝。北朝鮮とは引き分けに終わっている。 最終的には4勝1分けの首位通過と貫禄を示したなでしこだったが、ロンドン五輪でアジアに与えられた枠は「3」だった。これが「2」となるリオ五輪の最終予選では、黒星はもちろんのこと、引き分けも許されないというプレッシャーも加わってくる。 最終予選までの準備時間の少なさ、なでしこジャパンとして活動する時間の少なさを考えれば、今回の準優勝メンバーを中心に戦わざるを得ないのが現状だ。続投が有力視される佐々木監督も「非常に厳しいプレッシャーがかかる」と覚悟しながら、最終予選までに求められる変化をこう指摘した。 「まずは個の質、判断の質を上げたうえで、グループとしてなでしこらしい連携、連動にしていくパワーが必要になってくる」 アメリカとの決勝戦前日。公式会見に臨んだ宮間は、連覇を達成することで「女子サッカーをブームではなく、文化にしていくスタートが切れると思う」と決意を語っていた。 残念ながら連覇の夢は断たれたが、この日の会見や終了後の取材エリアでは「文化」に対する定義が問われた。4年前に世界一を勝ち取った直後のフィーバーが時間の経過ともに収縮していく現状を目の当たりにしてきた宮間は、常に危機感を抱えてきたと打ち明けた。 「大きな大会のたびに注目していただけることはありがたいんですけれども、常に結果を出し続けなければすぐにファンが離れていってしまうのでは、という不安を感じてきました。たとえばJリーグの選手は、男子サッカーの人気がなくなってしまうのでは、とは思っていないはずですよね。そういう不安がなくなったときに、きっと文化として定着するのかなと」 不安を解消するには、目の前の試合をひとつずつ勝っていくしかない。宮間も「選手はそれをするだけだと思っています」と断言する。 今後のなでしこのスケジュールを見れば、8月上旬に中国・武漢で開催される東アジアカップ以外は、現時点ではリオ五輪最終予選までは空白状態となっている。10月以降には海外遠征が計画されているものの詳細はまったく未定だ。 カナダ大会までの4年間を「数は少なくとも充実した合宿や国際大会に挑ませてもらったことで、意識を高く保つことができた」と振り返った宮間は、選手たちの偽らざる本音を代弁する形で、今後の活動へ向けて注文をつけることも忘れなかった。 「それとは裏腹に、もう少し一緒に過ごす時間や試合をこなしていたら、また違った経験ができて、新たな力になったのかなと思っています」