河野太郎を総理へ導く「4人の侍」と「1人の忍者」
『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、2021年に注目する「河野太郎を総理に導く5人」について語る。 * * * 「菅降ろし」、そしてそれに続く「ポスト菅レース」はあるのか? それが2021年の政治の注目点だろう。 「ポスト菅レース」が始まったとき、誰が次期首相の有力候補となるのか? 私は河野太郎行革担当相が最有力だとみている。 再々登板の声もあった安倍前首相は「桜を見る会」スキャンダルで、レース参戦の夢は幻となった。国民人気の高かった石破茂元幹事長は先の自民党総裁選で惨敗し、5度目の総裁選出馬は難しい。 もうひとりの有力候補である岸田文雄前政調会長も党内では「決断力不足」「ひ弱」という評価で、やはり厳しい状況だ。茂木(もてぎ)敏充外相、加藤勝信官房長官、野田聖子幹事長代行ら、宰相候補と呼ばれる面々も小粒感が否めない。 そうなると、残るのは行革相に就任早々、ハンコ廃止などの行革メニューをぶち上げ、実行力を印象づけた河野大臣しかいない。 ただ、今のところ河野大臣は麻生派の一議員にすぎず、党内基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。そんな河野大臣が次期首相を目指そうとするなら、石破元幹事長を上回るくらいの爆発的な国民人気を得ないといけない。そうなれば、自民党内でも「河野太郎を首相に」という声が強くなり、派閥領袖(りょうしゅう)の談合に打ち勝つことができるのだ。 河野大臣が首相を目指すにあたり、もうひとつ大切なものがある。それは菅首相との違いをアピールするための「対抗軸」である。河野大臣は菅内閣の閣僚であり、政策で手柄を立てても菅首相の功績になる。菅首相と違う対抗軸を打ち出さないと、河野待望論は起きないだろう。 ただ、河野大臣はその必要性をよくわかっていて、着々と布石を打っているように見える。そのひとつが昨年11月に大臣が肝煎(きもい)りで立ち上げた「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(以下、TF)である。 再生可能エネルギーを増やすための規制緩和を進めようというもので、メンバーは原英史・政策工房代表、高橋洋・都留文科大学教授、大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長、川本明・慶應義塾大学特任教授の4人。