鍵山優真、全日本選手権で初優勝…父子達成に父は涙、子はリンクで大の字 優勝者の歴史に新たな名前【フィギュア】
◇21日 フィギュアスケート 全日本選手権第2日(大阪府門真市・東和薬品ラクタブドーム) 男子は今季グランプリ(GP)ファイナル2位の鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が合計297・73点で初優勝し、来年3月に行われる世界選手権の代表に決定した。ショートプログラム(SP)1位で臨んだフリーも1位の205・68点をマークした。 渾身(こんしん)のフリーを終えると、鍵山は大の字になってリンクに寝転んだ。「すごく気持ちよかった。寝そべることはどうなのかなと思っていたけど、出し切れたからいいかなと思って、(宇野)昌磨さんのまねをしてみた」。熱を持った背中を冷やす氷が心地よい。全日本選手権優勝者の歴史に新たな名前が加わった。「鍵山優真」の4文字がしっかり刻まれた。 父親で自らも3連覇を経験した正和コーチは涙が止まらなかった。「やっぱり、これ(全日本優勝)がないと。これがあって、やっと世界のてっぺんを見据えていける。やつ(優真)以上に僕の中で一番重い試合」。普段は冷静に厳しく評するが、自らと同じ道を進んだ息子の日本一には喜びを隠さなかった。
実力者たちが崩れ続ける不穏な展開。しかし、鍵山は耐えた。そして、勝った。ジャンプは全て降りて、冒頭の4回転フリップはGOE(出来栄え点)で4・71点という高い加点を獲得。逆に、減点は4回転トーループなど2本での計2・58点にとどめた。「ミスは、最小限に抑えられた」。GPファイナルで感じたのは「チャンスをつかむ力が足りない」。悔しさを全日本の舞台で晴らした。 しかし、念願成就の達成感に浸ってばかりではいられない。「世界選手権では強いライバルがたくさん滑る。今のままでは表彰台に上れるかどうかすら怪しい」。ジャンプの構成変更も視野に入れて、さらなる進化を狙う。寝そべった銀盤は気持ちよかったが、「あまりやりすぎても面白くない」とも。「これがゴールではなくて、新たなスタートとしてやっていかなければいけない」。次に背中で氷の温度を感じるのは世界の頂点に立った後だ。
中日スポーツ