エネオス、JX金属のIPOで最大7割の売り出し検討-関係者
(ブルームバーグ): ENEOSホールディングスが、完全子会社のJX金属の新規株式公開(IPO)で、保有株式の5-7割前後を売り出す方向で検討していることが分かった。これによりエネオスは最大7000億円規模の資金を調達する可能性がある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
2人の関係者によると、エネオスは20日開催の取締役会でIPOについて議論する。売り出し比率については、エネオスの宮田知秀社長が50.1%を支持。意思決定に関与するほかの関係者は70%を希望している。
関係者らは、最終的に両者の中間値近辺に落ち着く可能性があるという。ただ、協議は継続中で詳細が変更される可能性もあると付け加えた。
19日の朝方から小幅安で推移していたエネオス株は、JX金属株の売り出し規模に関する報道後、一時プラス圏に浮上する場面もあったが、前日比1%安の781.1円で午前の取引を終了した。
JX金属の広報担当者は、特段申し上げる事項はないと述べた。エネオスの担当者は、これまで公表してきた内容以外のコメントはないと電子メールで回答した。
ブルームバーグのデータによれば、JX金属の売り出しが7000億円規模となった場合、東京地下鉄(東京メトロ)の同3486億円を上回り、2018年以来の大きさとなる見込み。15年の日本郵政の同6930億円を超え、過去6番目の大型案件となる。
エネオスはIPOについて、上場時の時価総額7000億-1兆円を想定し、25年3月の上場に向け準備を進めている。関係者らによると、JX金属は今回のIPOでは公募しない。
エネオスの宮田社長は11月の決算説明会で、JX金属のIPOの際、持ち分法適用会社になる水準まで保有比率を減らすと説明していた。売却資金の使途として、株主還元のほか低炭素関連事業を中心とした投資、企業の合併・買収(M&A)に充てる考えを示していた。
JX金属は、半導体の製造工程などで使用されるスパッタリングターゲットと呼ばれる材料で世界トップのシェアを持つ。米半導体製造装置メーカーのアプライド・ マテリアルズのサプライヤーでもある。
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Yasutaka Tamura