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音楽産業はインドの潜在市場を過大評価している?

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Rolling Stone Japan

レコード会社は音楽分野の成長をインドに賭けている――しかしストリーミングの統計によると、この賭けは業界が見込むほどの利益を挙げていない。 【画像】日本もこうなる? 全米初「ソーシャル・ディスタンス・コンサート」の一部始終(写真15点) ディストリビューターでありアーティスト向けのツールを提供するプラットフォームStemの創業者、ミラナ・ラブキン・ルイス氏がツイッターでおかしな提案をしたのは5月最終週のこと。IPO(新規株式公開)申請書類に焦点を当てた業界人向けの読書会をしようというのだ。最初の課題は、ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)の財務諸表もしくは公的文書だ。 ぎっしりと190ページ以上にわたる財務関係の報告書で、これによってWMGはNasdaqにIPO(新規株式公開)を行なった。そのなかには、企業戦略から利害対立、将来の「リスク要因」、なんなら重役たちの包括賃金に至るまで、好奇心をかきたてる情報が掲載されている。まだ見ぬ株主の注意をひくために盛った表現もめいっぱい出てくる。たとえばワーナーが「今後もレコード音楽産業における成長の原動力となる長期的なトレンド」があることを強調したくだりでは、特にブラジルとインドへの熱い期待を書き留めている。いわく、これらの国々には収益増加の「確実な機会が残されている」。 特にインドは13億3000万人もの人々を抱え、3G/4Gのモバイル回線が急速に普及しており、ここのところレコード産業で最もホットな見込みある市場とされてきた。そして、この市場は重要性をこれまでになく増している。アメリカやヨーロッパのようなより「成熟」した市場におけるストリーミングの成長が鈍り始めているためだ。 しかし、いまやこのお話には欠点がある。先月、IFPI(国際レコード産業連盟)がグローバル・ミュージック・レポートの最新版を発表した。前年にレコード産業が得た収益の概要をまとめた、もっとも信頼のおける年次報告書だ。それによれば、2019年、インドの卸売市場全体(たとえば、レーベルとアーティストに支払われた金を含む)は18.7%上昇し、1億8140万ドル(約198億円)に達した。大部分は広告によるストリーミング収入の増加によるものだ。対して、この金額のうち、有料会員によるストリーミング収入の増加は5.3%にとどまり、4380万ドル(約47億円)となっている。これは2019年の世界的な有料会員収入の成長率(24.1%増)よりもずっと低いばかりか、インドにおける劇的な鈍化を示してさえいる。2019年のこの金額は、前年からほんの220万ドル(約2億4000万円)しか増加していないのだ。2018年にはインドの有料会員収入が前年から1040万ドルの成長をみたのと比べると、おおよそ5分の1の成長にとどまる。 インドの地元メディアがこう問うのも無理はない。現状世界で17番目の規模となる音楽市場であるインドが、2022年までに世界で10本の指に入る音楽市場になるという目標を達成しうるのだろうか? と。

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