元銀行員が語る、住宅ローンを繰り上げ返済すべきでない本当の理由
いよいよボーナスシーズンが到来です。 通常の給与に加え、ボーナスの一部をローンの返済に充てることを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 住宅ローンを繰り上げ返済すべきでない理由を解説 住宅ローンを組んでいる人は普段、「繰り上げ返済すべきか」という点について考えることがあるかと思います。 繰り上げ返済とは、ローンの一部もしくは全部を、当初の返済とは異なって一括で返済することです。 確かに、借金が早く減っていくのは、気持ちのよいことかもしれません。 しかし、住宅ローンを繰り上げ返済するかどうかは、慎重に検討する必要があります。 今回は、元銀行員である筆者が、住宅ローンを繰り上げ返済すべきでない理由や注意点についてご紹介します。
1. 住宅ローン減税
ここで、住宅ローン減税についてお話します。 住宅ローン減税とは、住宅ローンを組んで一定の要件を満たすマイホームを取得した場合、住宅ローンの年末残高又は住宅取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から一定期間※控除できる制度です。 ※適用期間は新築の場合は原則13年、中古住宅の場合は10年 減税のメリットをしっかり享受したい人は、借り入れ後10年間(もしくは13年間)は繰り上げ返済しない方がよい場合もあるかもしれません。
2. 繰り上げ返済を考える時の注意点
「借金がない」という状況に惹かれ、繰り上げ返済を何としても実施したいという人もいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし、繰り上げ返済した結果、手元に十分な資金が残らなければ、その後の生活での金銭的余裕がなくなってしまいます。 繰り上げ返済後に万が一のことがあっても、経済的に困らない預貯金は確保できていた方が安心ではないでしょうか。
3. 住宅ローンの金利は非常に低い
現状、住宅ローンは様々なローンの中でも金利が相対的に低いローンとなっています。 つまり、「借金するなら住宅ローンが1番おトク」ということになります。 例えば、住宅ローンを繰り上げ返済した後、教育資金や自動車購入資金などが足りなくてお金を借りようと思った際、住宅ローン以上に高い金利で借りることになるのです。 この点でもやはり、繰り上げ返済をする際は潤沢な資金がきちんと残るという状況が望ましいです。 また、繰上げ返済を優先するあまり、手元の資金に余裕がないまま失業・休業などに陥って収入が減った場合、ローンの返済能力がむしろ悪化してしまいます。 少なくとも低金利の間は、無理なペースでの住宅ローンの繰り上げ返済は慎重に考え、手元の資金の確保に意識を割いた方がよいのではないでしょうか。