大麻「使用も罰則対象に」12月12日から改正法施行 医療、ヘルスケア…薬物汚染対策だけではない“身近な”影響
厳格化で不足が懸念される分析体制
一方で、より厳格化されるため、これまで通りの成分分析体制では継続が難しい事業者も出てくる。現状、国内では「THC」の検出をするには体制が不十分ともいわれており、市場安定化には検査体制の整備が急務となっている。 第三者機関として輸出入貨物および国内貨物の公正な鑑定、検査および分析業務などを行う「新日本検定協会」の中島昭氏は、改正法下における分析機関の現状と懸念点について次のように解説する。 「分析を実施するためには、測定対象成分である『△9-THC』及び『△9-THCA』の標準化合物(試薬)を保有し、検量線の作成、添加回収試験などで使用することが必要となる。ただ、これらは従来までは禁止成分であったため国内流通していなかった。麻薬成分であることから厳重な取り扱いが必要な物質であり、非常に高額でもある。 また分析機関で標準化合物を保有、分析に使用するには麻薬研究者免許の取得が必要となる。 さらに今後、国内外のさまざまな分析機関でTHC分析が行われ、さまざまなCoA (Certificate of Analysis:分析証明書)が国内で流通することが考えられるが、その分析結果の信頼性の確保をどのように行ってゆくか。望ましいのは検査機関ごとの精度管理等の努力と共に、分析機関全体としての取組み等を検討していくことだ」 厚労省が11月28日に発表した検査機関は5機関。そのうち4機関は海外を拠点としている。国内では、まだ十分とはいえないのが実状だ。 乱用者の増大などが改正の引き金となった大麻取締法。薬物に対する取り締まりがより厳しくなるのは確かだが、影響はより身近なところにもおよんでいる。
弁護士JP編集部