「人間として最低」発言 VS 「心が傷つく」SNS投稿 室蘭市議と市長の「場外戦」 専門家の見方は
定例室蘭市議会で受けた「人間として最低」という発言に対し、青山剛市長が「心が傷つく」と短文投稿サイト「ツイッター」で発信したことが、波紋を広げている。識者からは「発言は人格否定」などとの指摘もある一方、議会議論の一部を切り取って政治的な効力を狙ったとみられる発信には疑問も示される。市議会側は市長のSNSの使い方を見直すよう青山市長に申し入れる予定で、室蘭市議会の「場外戦」は熱を帯びている。 【映像】花火の爆音でクマ追い払え 手投げ式、北広島の業者に注文相次ぐ 「人間として最低」との発言は、3月28日に閉会した定例市議会で、令和新緑会の羽立秀光市議が複数回にわたって行った。政策面でリーダーシップを発揮できないとして市長を批判したもので、市議会では当時、問題視する指摘はなかった。これに対し、青山市長が議会閉会後、ツイッターに「乱暴な表現で流石(さすが)に心が傷つく」などと投稿し、議論となった。
■「発言は人格否定」「過激」
発端となった「人間として最低」という羽立市議の発言。「政治家」や「市長」という肩書ではなく「人間」として「最低」とした点が特徴だ。北海道みらい法律事務所の増川拓弁護士は「発言は人格否定に当たる。繰り返せば、パワハラやいじめととられかねない」と説明した。北海学園大法学部の鹿谷雄一准教授(地方自治論)も「市議会は市民の代表、発言には注意が必要だ。相手がどう受け取るのか考えなければならず、『人間として最低』は過激すぎる」と語った。 市議会全会派は、羽立市議の発言は3総合病院の再編協議凍結や、フェリー休止といった市政に対する苦言の一部で、全体を通して聞けば問題とまでは言えない、との立場だ。ただ、地方自治法は議場での発言について品位の保持を定めている。鹿谷准教授は「市議として品位を持って発言すべきだ」と強調。増川拓弁護士も「市政運営を問題にするにも言い方や手段があり妥当ではない」とした。 市議会の児玉智明議長は7日、全市議に対し「議員の本質」「議員の品位」について再確認するよう文書を送付。今後の発言には注意を呼びかけた。