「感染症を抑え込めても経済困窮で自殺者が増えるのでは」 沖縄県コロナ専門家会議の藤田座長が初インタビュー
県内での新型コロナウイルス感染者初確認から14日で1年。県の新型コロナウイルス対策に助言してきた県専門家会議の座長を務める藤田次郎琉球大学大学院教授(感染症・呼吸器・消化器内科)が、同日までに初めて本紙インタビューに応じた。 専門家会議は新型コロナ対策について、県に医療面から提言するため昨年3月に設置された。医師やウイルス研究者らで構成する。 県をまたぐ往来自粛要請で観光が落ち込み、要請解除が焦点だった昨年5月、専門家会議の役割が「感染抑制」と「社会経済」の両立を探る範囲に広がり、座長の重責に思い悩んだ。 「感染症を抑え込めても経済困窮で自殺者が増えるのではないか。座長としての自分の役割が感染症の専門家の範囲を超えていると感じた」。会議を廃止し、経済の専門家を含めた新たな会議の設置を提案した。 議論の末、経済との両立を探る役割は県で受け、専門家会議は感染症対策のみを考える場として仕切り直した。だが「だからといって対策が厳しければ厳しいほどいいと考えているわけではなく、専門家会議が極端な意見を言えば県民の信頼を失う」と心に留める。 (社会部・篠原知恵)