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マクドナルド、コロナ禍でも圧勝したアップセル/クロスセル戦略

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SmartFLASH

《外食市場規模は(中略)前年比で約4分の1に縮小》 『ホットペッパー』などを運営する、リクルートライフスタイルが発表した4月の外食市場調査に、衝撃的な数字が躍った。2012年10月の調査開始以来、最低の数字で、食事主体の業態ですら、前年同月比74%減に落ち込んでいるのだ。  そんな状況でも、マクドナルドは業績を伸ばしていた。流通業に詳しい、店舗コンサルタントの河野英俊氏が語る。 「マクドナルドの4月の売り上げは、既存店でプラス6.5%。客数は18.9%減と落ち込みましたが、それを客単価アップ(31.4%増)でカバーしています」  なぜ、マクドナルドは逆境に強いのか。2014年には「チキンマックナゲット」に期限切れの鶏肉を使ったことが判明、翌年には異物混入が相次いだ。 「ブランドの毀損は激しく、客離れが起き、2015年の決算は過去最悪の赤字でした。それが2017年には、鶏肉事件前と同水準にまで回復。2020年には、過去最高の売り上げを見込んでいます」(河野氏)  近年のマクドナルドを牽引してきたのは、原田泳幸氏(事業会社CEO在任期間2004年~2013年)と、サラ・カサノバ氏(同2013年~2019年)だ。2人は逆境に直面したとき、どう乗り越えたのか。  原田氏は、デフレ経済下の2005年、「100円マック」を打ち出す。「数値主義でコストをかけない経営をしました」(河野氏)。 “壊し屋” とも評されたが、元・日本マクドナルド統括スーパーバイザーで、経営コンサルタントの松下雅憲氏は、原田氏のこんな一面を明かす。 「業績が悪化したときは、時間との勝負です。原田氏はそれがよくわかっていたから、幹部を一堂に集め、『私と同じバスに乗るなら一緒にやろう。乗らないなら去ってくれ』と戦略を詳細に説明してから、各自に決断を迫りました」  100円マックで盛り返したが、業績はまた徐々に低迷していった。 「そこで、“今までにない商品” を高単価で販売することを決断します。100円マックを買う若年層以外に、金銭的に少し余裕がある層、ファミリー層にも訴えかける戦略でした。この手法を、牛丼チェーンも参考にしました」(松下氏)  好例が、2010年に発売された「ビッグアメリカ」シリーズ。400円~という高単価だったが、そのうち「テキサスバーガー」は、発売4日間で413万食を販売。見事、逆境を乗り越えた。  そしてカサノバ氏のCEO就任直後、前述のように期限切れの鶏肉を使用していたことが判明した。 「カサノバ氏は、全国の消費者の意見を聞き、信頼回復を重視。そして、『楽しいマックに、もう一度戻ろう』と原点回帰を決意しました」(河野氏)  この時期には、新メニューを従来の2倍のペースで投入した。経営コンサルタントの坂口孝則氏が解説する。 「たとえば、厚切りチーズやベーコンなどをトッピングした『黄金の月見バーガー』は、人気の『月見バーガー』をバージョンアップして少し高価格にした『アップセル』という手法です。  同時にサイドメニューも充実させ、“ついで買い” に持ち込む『クロスセル』も強化したのです」 “ついもう一品” 戦略が、コロナ禍で他社との明暗を分けたのだ。以下では、日本マクドナルドの30年史を、業績推移とともにご紹介する。

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