Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

【神奈川のあれから】 急勾配、遊水地スペースなし―大都市「暴れ川」治水の難しさ

配信

カナロコ by 神奈川新聞

 浸水した自宅が全壊と判定された女性は「家の売却について不動産屋に相談したが、値段が付かないと言われてしまった」。不安を抱きながら住み続ける今、「災害は季節を問わず起きるのだから、とにかくすぐに対策を」と願う一方、危険が迫った時の行動を見直すつもりだ。「情報を集め、なるべく早めに避難できるようにしたい。つらい経験を無駄にしたくない」

「かすみ堤」が伝える役割とは

 多摩川は主に江戸時代から明治時代にかけて、氾濫を繰り返す「暴れ川」だった。平瀬川との合流部付近には、洪水を軽減するため江戸時代に築かれた「かすみ堤」が保存され、水害の歴史を今に伝える。  かすみ堤は周囲の宅地より高く、緑に覆われている。堤より川側には、台風19号で犠牲者の出たマンションが立つ。

 「40年以上、この地域に住んでいるが、これほど大きな被害は初めてだ」。かすみ堤を保存する会の久郷則男代表(75)は、住民の意識に課題があった可能性を指摘する。「暴れ川だったという記憶は薄れてしまっている。かすみ堤は今では散歩道などとして親しまれているが、本来は防災施設であるとの認識も失われつつあるのではないか」  川沿いの暮らしのありようをも問うた地元の被災を機に、久郷さんは自らの立ち位置を見定める。「かすみ堤の役割を子どもたちに語り継いでいきたい。地球温暖化の影響で、雨の被害がさらにひどくなる恐れがあることも、だ」 連載:神奈川のあれから  この記事は神奈川新聞社とYahoo!ニュースによる共同企画記事です。昨年、日本各地で被害を出した台風19号。その被害の実情と復興の過程を、地元メディアの目線から伝えます。

【関連記事】